病院の検査の基礎知識

喫煙で体内にどの程度の一酸化炭素(CO)が取り込まれているかを調べます

喫煙は、肺がん、喉頭がん、食道がん、肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息、動脈硬化(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など)、歯周病などの原因、あるいは悪化させる因子となるなど、その有害性については広く知られています。また、喫煙者本人だけでなく、受動喫煙という形で、周囲の人の健康にも影響しかねません。

タバコには、64種類の発がん物質をはじめとする約200種類の有害物質が含まれています。強い神経毒性で喫煙への依存を助長する「ニコチン」、多くの発がん物質を含む「タール」、心疾患のリスクを高める「一酸化炭素(CO)」はその代表といえます。

一酸化炭素には強力な毒性があり、濃度が100ppm(0.01%)を超えると危険です。これは、一酸化炭素が血液中の赤血球ヘモグロビンと結合しやすく、酸素を体に運ぶというヘモグロビンの重要な機能が損なわれるからです。

喫煙者の呼気中の一酸化炭素濃度は約20ppmといわれており、いかに体に悪影響を及ぼすかがこの数値でわかると思います。悪影響はニコチンによるがん促進作用だけではないのです。

この検査は呼気に含まれる一酸化炭素の濃度を測定することにより、簡便に被験者の喫煙状況を知ることができます。呼気中に含まれる一酸化炭素の濃度は1日に吸うタバコの本数に比例するといわれており、呼気中一酸化炭素濃度測定は、喫煙者に異常が認められる数少ない検査の一つとされています。

基準値
3ppm以下です。20ppmを超えるとヘビースモーカーと診断されます。

近年は濃度測定の装置開発が進み、簡便な使いやすい測定器が登場しています。禁煙外来などの外来診療においても容易に測定できるようになりました。本検査により、喫煙による検査値の異常が示され、また、禁煙によりデータの改善が示されることは、禁煙の助けになるでしょう。


 
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