病院の検査の基礎知識

無月経、不妊症、男性の性機能低下などの疑いがあるときに実施

プロラクチンとは、脳の下垂体から分泌されるホルモンのことで、女性の場合は妊娠・出産に大きく関わっています。妊娠中は乳腺を発育させ、出産後は乳汁の分泌を促します。

妊娠・出産との深い関係

出産後は、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が急激に低下してプロラクチン(PRL)の分泌が増加します。また、赤ちゃんがお乳を吸う「乳腺刺激」が、さらにプロラクチンの分泌を促すことで、乳汁がスムーズに分泌されます。男性では、前立腺や精嚢腺の発育を促す役割を担っています。

プロラクチンの検査は、下垂体の異常や、無月経、不妊症、男性の性機能低下などの疑いがあるときに行なわれます。

プロラクチンはどのように検査するのか?
30分〜1時間ほど安静にしてから、血液を採取して行ないます。通常、月経周期の初期に実施されます。

プロラクチンの基準値

  • 男性…3.6〜12.8ng/ml
  • 女性…6.1〜30.5ng/ml

検査結果の判定
高値の場合はプロラクチンを産生する腫瘍(プロラクチノーマ)や、排卵障害(生理がない、排卵がないなど)、甲状腺の機能低下、下垂体や視床下部の腫瘍などが疑われます。視床下部から分泌される、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)とドーパミンのバランスが乱れると高値になります。そのため、ドーパミン阻害剤(ドグマチール、レセルピン、アルドメットなど)を服用していると高値になります。

逆に低値となる場合は、下垂体の機能低下が疑われます。ドーパミンの分泌を促進するドーパミン作動薬の服用でも低値となります。

異常な場合に疑われること

  • 高値…プロラクチン産生腫瘍、乳汁漏出性無月経症候群、勃起不全(男性の場合)、視床下部や下垂体の障害、乳がん、甲状腺機能低下症など
  • 低値…シーハン症候群、下垂体腫瘍、甲状腺機能亢進症など

 
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