循環器の病気は、心臓の病気、血管の病気、高血圧症の3つに分けられます。次に述べるような様々な病気を正確に診断し、治療法を決定するうえで、特殊な検査が必要となります。
心臓の病気(虚血性心疾患、弁膜症、心筋症、不整脈)
心臓は、1日に10万回拍動を繰り返しており、多くの酸素を消費します。
酸素は心臓に栄養を送る冠動脈を介して心臓全体に供給され、冠動脈に血管障害が起こると、心臓の筋肉は正常に機能しなくなります。この心臓の筋肉の酸欠状態を、心筋の虚血といい、そのために生じる病気が虚血性心疾患です。狭心症と心筋梗塞がその代表です。
弁膜症とは、血液を押し出す役目を持つ心臓の4つの弁に異常が起こり、本来の役割を果たせなくなった状態をいいます。この弁に異常があると血液を効率的に押し出せず、左心室に負荷が加わったり、十分な血液が流れ込めなかったりして、心不全を起こします。
心筋症とは、心筋(心臓の筋肉)に障害が起こる病気で、心筋が弱くなって心不全になる拡張型心筋症と、心筋が肥厚して不整脈や心不全を起こす肥大型心筋症が、主なものです。
不整脈とは、脈が不規則にうったり、勝手に速くなったり遅くなったりする状態をいいます。これには、放置しておいてかまわないものから生命に危険があるものまで、様々な病気が含まれています。虚血性心疾患にともなう不整脈は、重大な危険信号です。
血管の病気
大動脈が局部的に拡張したものを大動脈瘤といいます。ある程度大きくなると破裂し、突然死を起こします。発見されたら、心臓血管外科医による適切な治療が必要です。
大動脈の壁が避けることを大動脈乖離といいます。大変危険な病気で、避けた直後は生命の危険が極めて高いものです。そのほか、大動脈に炎症を起こして、血管の閉塞や大動脈弁膜症を起こす大動脈炎、動脈硬化が進行して足などの血管閉塞を起こす閉塞性動脈硬化症などがあります。
高血圧症
高血圧症は、最高血圧が160mmHg以上か、最低血圧が95mmHg以上ある状態です。原因のはっきりしない本態性高血圧症と、内分泌疾患や腎臓病などの原因で血圧が高くなる二次性高血圧症があります。
- 血圧測定…血圧は動脈硬化や脳卒中などの病気を予防する上で重要な指針になります。
- 心電図検査…心臓病の発見や診断、病状の把握、治療効果の確認などに欠かせません。
- 負荷心電図…心臓に負担をかけ、これに伴う心筋の変化を心電図で観察します。
- ホルター心電図…24時間の心電図を持続的に記録して、後日、解析して診断します。
- 心音図・心機図検査…心臓の先天性疾患や心臓弁膜症などの診断に有用です。
- 総コレステロール…動脈硬化や心臓病などの循環器障害の診断や経過判定に有用です。
- LDLコレステロール…動脈硬化を引き起こす原因となる、「悪玉コレステロール」です。
- HDLコレステロール…血管内壁にへばりついて動脈硬化を引き起こすLDLを引き抜きます。
- 中性脂肪…血液中に増加してくると、動脈硬化を進める一因になります。
- 心臓超音波検査…心臓からエコーを受信して画像に映し出し、心臓の動きを観察します。
- 心臓核医学検査…静脈に放射性同位元素を注射し、心臓の血液の流れを映し出します。
- 心臓カテーテル検査…先天的心疾患や心臓弁膜症の診断や重症度判定に有用です。
- 冠動脈造影検査…造影剤で冠動脈を造影して血管の状態を調べたり、治療を行います。
- シネMRI…心臓の動きを1心拍16〜40コマの動画で表示する画像診断法です。
- 遅延造影MRI…心筋梗塞部が高信号の領域として鮮明に描き出されます。
- 負荷心筋血流MRI…造影剤による心筋の染まりから心筋血流を診断する検査法です。
- 電気生理学的検査…心臓へ電極を挿入し、内部の電気活動の状態をとらえます。
- 不整脈の立体画像検査…不整脈の電気刺激を立体画像で表示する診断法です。
- マルチスライスCT…あらゆる角度、方向から、心臓が立体的に手に取るように見えます。
- 心筋梗塞マーカー…心筋細胞の壊死により漏出したトロポニンの増加を薬剤で調べます。
- ABI・PWV検査…動脈硬化の度合いや早期血管障害を検出することができます。
- クレアチンキナーゼ…急性心筋梗塞、筋ジストロフィーで著しく上昇します。
- 心筋生検…心臓の筋肉を採取して、顕微鏡で観察し、心臓の異常の原因を調べます。

