病院の検査の基礎知識

淋病は男性で症状(排尿痛)が出やすいものの、女性は乏しいため要注意!

淋病(淋菌感染症)は、セックスや類似性行為(オーラルセックス等)を介して淋菌(りんきん)に感染することで発症する性病です。国内における性病の感染者数としてはクラミジア感染症に次いで2番目となっており、双方に感染しているケースも少なくありません。

早期の治療で不妊は避けられます

淋菌は39℃以上の高温、30℃以下の低温の環境では生存できないため、人から人への感染が主な感染経路となります。1回のセックスや類似性行為で淋菌に感染するリスクは約30%とされています(数値は日本性感染症学会「性感染症 診断・治療ガイドライン」より)。

主な感染部位は男性が尿道、女性は子宮頚管ですが、フェラチオ等のオーラルセックスが風俗などの特殊な場面だけでなく、一般のカップルでも日常的に行われている近年は、喉に感染する女性が増えています。この傾向はクラミジアと全く同じです。そのほか、アナルセックスで直腸に感染することもあります。

男性が尿道に感染(淋菌性尿道炎)した場合、感染から2日〜1週間程度の潜伏期間を経てから、排尿時に「シカシカ」あるいは「ビリッ!!」としたような鋭い痛みが走ったり、灼熱感があったり、ペニスの先から粘り気のある白色あるいは黄色の膿がたくさん出てきます。膿で下着が変色したり、濡れて乾いた後にパリパリになっていることもあります。

この淋菌性尿道炎の段階で泌尿器科で治療を開始しないと、淋菌が尿道から精巣上体(副睾丸)にまで広がり「精巣上体炎」を発症するリスクがあります。精巣上体炎になると、局所が腫れあがり、歩行に支障をきたすほどの強い痛みが現れたり、発熱を伴うこともあります。最悪の場合、男性側の不妊の原因となる「無精子症」を生じることもあります。

女性が子宮頚管に感染した場合、おりものが増えたり、子宮の外側の入り口に膿のような分泌物が出るなどの症状を訴える人もいますが、多くの場合で自覚症状がなく、潜伏期も判然としません。感染が子宮頚管から骨盤にまで拡大すると、発熱や強い下腹部痛などが現れますが、それでも症状を訴える人は約50%に過ぎません。

淋病に気がつかずに放置していると、炎症が卵管や骨盤内にまで及ぶため、不妊症や子宮外妊娠の原因となります。またパートナーが複数いる女性の場合、本人が知らないうちに、男性の淋病の主たる感染源となってしまうことも懸念されます。

フェラの後に喉が痛い…それは風邪ではなく淋病の咽頭感染かも!?

先述の通り、オーラルセックスが一般的に行われるようになった近年は、淋菌が喉(咽頭)に感染するケースも増えており、淋菌が性器に感染している人の約10〜30%は喉にも感染があるとされています。

咽頭科での診察もOK

喉への感染は、喉の痛みや腫れ、違和感(イガイガする)、発熱などの炎症症状が現れることもありますが、自覚症状が全くない症例のほうが多いので、検査が行われないこともあります。そうなると性器の淋病の治療が終了した後も感染源としてのリスクが残ってしまうので、注意が必要です。

喉の症状は淋病に特有のなものではなく、一般的な風邪でもみられるため、勘違いして医療機関の受診が遅れることも考えられます。喉に感染した淋病は、性器の感染と比較して治療に時間がかかる傾向にあるため、非常に厄介です。

フェラなど喉を使った性的接触機会の多い風俗店で働く女性や、風俗を定期的に利用している男性は感染リスクが高まります。上記の喉の症状や排尿痛などを頭の片隅に入れておけば、万が一の時に早期発見・治療につながるかと思います。

なお、フェラをはじめとするオーラルセックスで感染リスクが生じる性病としては、淋病やクラミジア以外にも、梅毒ヘルペス尖圭コンジローマなどが挙げられます。

淋菌の感染の有無は、尿道分泌物(男性)、尿、膣分泌液、うがい液を採取して調べます。クラミジアも同時に感染している症例が多いため、淋菌とクラミジアの検査を同時に行うのが一般的です。

ロセフィン(抗生物質)を注射

淋病の治療は抗菌薬を注射して行います。現在、淋菌に対して有効性があるのは、セフトリアキソン(商品名:ロセフィン)、セフォジジム(商品名:ケニセフ、ノイセフ)、スペクチノマイシン(商品名:トロビシン)の3つです。

以前はニューキノロン系やテトラサイクリン系の抗菌薬が有効でしたが、菌が薬剤への耐性を備えた現在はほとんど効かないため、感受性が確認されない限り使用は避けるべきとされています。同様に第三世代経口セフェム系という抗菌薬も、耐性菌が増えたことにより、常用量では効果が期待できなくなっています。

男性が淋菌に感染した場合、排尿痛や尿道からの分泌物などのわかりやすい自覚症状があるため、泌尿器科や性病科で治療を受ける機会を逃すことはあまりありませんが、女性は自覚症状に乏しいケースが多いため、婦人科や性病科への受診機会を逃した結果、先述のように不妊症、子宮外妊娠、母子感染などの重大な結果を招いてしまうリスクがあります。

こうした事態を避けるためには、パートナーである男性が淋菌性尿道炎と診断されたならば、女性もなるべく早く検査を受けることが大切です。


 
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