病院の検査の基礎知識

白と赤の発疹、高熱が現れる麻疹(はしか)は2回のワクチン接種が重要

「はしか」という名称のほうが広く普及している「麻疹(ましん)」は、麻疹ウイルスに感染することで発症する感染症です。ワクチン接種による免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症します。「風疹」が「三日ばしか」と呼ばれることが多いため、麻疹と風疹を混同してしまっている方も多いようですが、この二つは原因ウイルスが異なる全く別の病気です。

空気感染に注意

麻疹ウイルスは、一般的なウイルスの中では"最強の感染力"を持つとされており、空気感染を起こすのが大きな特徴です。そのためインフルエンザ等の予防に有効な手洗いやマスクの着用だけでは、感染を防ぐことが困難となっています。

麻疹ウイルスに感染すると、10日程度の潜伏期間を経たのち、咳、鼻水、のどの痛み、発熱など風邪に似た症状が現れる「カタル期」に入ります。ほほの内側には1mm程度の白色の発疹(コプリック班)が現れるのが特徴です。麻疹ウイルスの感染力はこの時期が一番強く、患者とすれ違うだけでも感染のリスクがあるほどです。

カタル期を過ぎると、5日程度の「発疹期」に移行します。カタル期に現れた発熱の症状はいったん治まるのですが、再び39〜40℃くらいの高熱がやってきます。顔や首に赤い発疹が現れて、徐々に全身に広がるのが特徴です。

この発疹期を過ぎてしまえば熱は下がり、徐々に快方に向かいます。麻疹に対する抗ウイルス剤は存在しないので、特別な治療法はなく、医療機関では症状を軽くするための対症療法を行うしかありません。1週間から10日程度で治りますが、子供よりも大人の方が重症化しやすく、入院が必要となるケースも少なくありません。特に妊婦さんは流産や早産のリスクもあるため注意が必要です。

先進国では滅多にありませんが、重症化すると肺炎を合併したり、脳炎を発症して死に至ることもあるため、WHO(世界保健機関)では、麻疹撲滅のための世界的な連携を進めています。

ワクチン接種で予防

日本国内では2007年、15歳以上が罹る「成人麻疹」が大流行し、全国の学校で休校や学級閉鎖が相次ぎました。当時、麻疹に罹った患者さんは、子供の時にワクチンを接種していない、あるいは1回のみの接種となっていました。

ワクチンは2回接種すれば、免疫を確実に獲得できるため、翌2008年から5年間の期間限定で、中学1年生と高校3年生の年齢に相当する人を対象に、2回の定期接種を導入しました。

これらのワクチン接種の強化により流行は見られなくなり、2015年3月にはWHO(世界保健機関)から、日本は麻疹の安全国になったことを意味する「麻疹排除国」の認定を受けました。かつて「日本はNo.1の麻疹輸出国」とアメリカから名指しで批判されていたことを考えると、非常に大きな前進です。

しかし、国内での麻疹発生は無くなったものの、免疫を持っていない人が海外旅行先の国で麻疹ウイルスに感染して、帰国後に国内で発症する「輸入麻疹」が近年増加しており、まだまだ油断は禁物です。

麻疹の最大の予防策は、ワクチン接種を2回受けて、確実に免疫をつくっておくことです。風疹もワクチン接種が最大の予防策ですが、現在は1歳と小学校入学前の計2回、麻疹ワクチンに風疹ワクチンを追加した、「MRワクチン」が定期接種となっています。


 
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