病院の検査の基礎知識

血液の異常を調べる検査の一覧(全16項目)

血液は、からだの隅々を駆け巡り、各細胞に必要な酸素や栄養素を運び、古くなった代謝産物や老廃物を運び去る、という大切な働きをしています。その血液の中身を調べれば、全身の組織や臓器の状態や異常がわかるもので、健康診断や人間ドックでは必ず血液検査が行われます。

血液を採取して調べます

血液自体の病気もわかり、赤血球系、白血球系、血小板系、血漿タンパクの4つに大別される血液の病気のうち、どの系統なのか最初に見当をつけることができます。

  • 赤血球数…血液一般検査の基本項目のひとつ。貧血や多血症の有無がわかります。
  • 網状赤血球数…貧血など、血液をつくるもとが関係している病気を調べます。
  • ヘモグロビン量…赤血球数とヘモグロビン量とを比較し、貧血のタイプを調べます。
  • ヘマトクリット…血液中にどれくらい割合で赤血球が含まれているかを調べます。
  • 白血球数…細菌感染による炎症を起こしているかどうかの判定に役立ちます。
  • 白血球分画(血液像)…好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の増減を調べます。
  • 血小板数…貧血があって慢性出血が疑われるときに必ず行なわれます。
  • 骨髄穿刺…造血機能や血球の熟成度がわかり、血液病の診断に欠かせません。
  • 赤沈…赤血球沈降速度の略で、主に炎症をともなう病気の有無や程度がわかります。
  • 出血時間…血液凝固に関わる血小板の機能と毛細血管の状態がわかります。
  • プロトロンビン時間…外因系の凝固因子の異常を見つけるために行なわれます。
  • 活性化部分トロンボプラスチン時間…血友病のスクリーニングとして重要です。
  • フィブリノゲン…急性の炎症や組織破壊が起きていないかを調べます。
  • トロンボテスト、ヘパプラスチンテスト…血液の凝固する力がどの程度かを調べます。
  • FDP、Dダイマー…体のどこかに血栓ができて、線溶現象が亢進しないかを調べます。
  • 凝固因子活性検査…血液凝固因子の働き具合を調べます。

血液の細胞成分(赤血球、白血球、血小板)の役割

血液の細胞成分は「赤血球」「白血球」「血小板」の3つがあり、健診で実施される血液検査ではこの3つの成分の数を必ず測定します。ここでそれぞれの役割を簡単に紹介します。

白血球による防御反応

「赤血球」には肺の肺胞(小さな袋)で酸素を取り込み、全身に酸素を行き渡らせる働きがあります。いわば酸素の運び屋です。赤血球の検査には、赤血球数、ヘマトクリット(血液中に赤血球が占める割合)、ヘモグロビン(血色素量)の3つがあります。赤血球の数が少ない=酸素の運搬機能が低下しているということです。この赤血球が少ない状態が貧血です。

「白血球」の働きは外敵の侵入に対して体を防御することで、好中球(細菌を殺す)、好酸球(アレルギー反応に関係)、好塩基球(真菌や寄生虫の感染に抵抗)、単球、リンパ球(免疫反応を担う)の5つに分類されます。

白血球数が大幅に増えた場合に考えられるのは、細菌やウイルスなどへの感染です。感染症によって体の防御反応が活性化され、細菌やウイルスを撃退するために大量の白血球が作られたためです。逆に白血球数が少ない場合にはある種のウイルス感染や自己免疫疾患によって体の防御反応が低下していることが考えられます。

「血小板」は止血に深く関与しており、怪我などで出血した際に暫くすると自然に血が止まるのは、血小板が壊れた血管に集結し傷口を固めるためです。血小板数が少ないと出血が起こりやすくなります(出血傾向)が、逆に多すぎると血管の中で血が固まってしまう血栓症を引き起こす可能性があります。


 
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