炎症をともなう病気の有無や程度を調べる赤沈
赤沈とは赤血球が試験管内を沈んでいく速度を測定する検査で、一般に赤血球沈降速度、血沈、ESRとも呼ばれています。
血液を試験管に入れ、抗凝固剤という血液が固まらないようにするための試薬と混合すると、やがて赤い赤血球が下へ沈み、上澄みのような透明の血漿が上に残ります。液の上端から赤と透明の境界線までの長さが赤血球の沈んだ距離に相当し、1時間に何mm沈んだかをみます。
赤沈(血沈)で何がわかるのか?
主に炎症をともなう病気の有無や程度がわかりますが、異常がなくても異常値を示すことがあり、逆に、明らかに病気であるのに正常値になることもあるため、この検査だけで診断を下すことはできません。また、特定の病気を診断するという性格のものでもありません。
検査の手順が非常に簡単な上、さまざまな病気のときに異常値を示すことから、本格的な検査に入る前の、早期に異常を発見するため、あるいはあらかじめ異常個所などをチェックしておくためのスクリーニング(ふるい分け)検査としてよく用いられます。
赤沈(血沈)はどのような検査か?
血液を採取して行なわれます。採取した血液に抗凝固剤を混ぜてガラス管に入れ、1時間後に赤血球が何mm沈んだかを計ります。
基準値とその範囲
- 男性…1〜10mm(1時間後)
- 女性…2〜15mm(1時間後)
変動範囲は個人差もありますので20mm以内であれば、あまり問題にはなりません。ただし、女性では軽い貧血があるときや妊娠後期、生理時に沈降が進み、やや高値になります。
検査結果の判定
異常とみなされるのは男女とも20mm以上です。軽度の亢進(20〜50mm)で考えられるのは、気管支炎、肺結核初期、貧血などです。中程度(50〜100mm)の場合は、悪性腫瘍、肺炎、肺結核、肝硬変、血友病などが考えられます。100mm以上の高度亢進では、白血病などの血液系統の悪性腫瘍、腹膜炎の疑いがあります。
異常があったらどうするか?
いろいろな病気で赤沈は異常値になりますから、この検査だけでどの病気かを判定することはできず、身体症状やその他の検査(CRP検査、赤血球数、血清たんぱく分画検査など)によって診断が下されます。
異常な場合に疑われること
高値の場合
- 感染症…肺炎、結核、気管支炎、梅毒、腎盂腎炎など
- 心臓病…心筋梗塞、心内膜炎、心筋炎など
- 消火器病…肝炎、胆のう炎、膵炎、潰瘍性大腸炎など
- 免疫の異常…全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチなど
- 血液病…多発性骨髄腫、白血病、悪性貧血など
- がん…ほとんどの進行中のがん
低値の場合