病院の検査の基礎知識

職場や自治体が実施する健診の検査項目(25項目+αの詳細ページ案内)

健診(健康診断)は、特に自覚症状のない人が、自分の健康状態を知って生活習慣病を予防したり、隠れた病気を発見するために行われます。検査項目の数は、自治体や加入する健保組合などによって異なりますが、一般的に以下の検査が実施されます。

健康診断を受ける家族と医師

文字が青い検査項目をクリックすると、検査の手順や基準値等を解説した詳細ページへと移動します。

健診の種類 検査項目
診察等 医師による視診、聴診、触診
計測:身長、体重(標準体重、BMI=肥満度:ページ下で解説)、腹囲
視力検査
聴力検査
血圧測定
胸部エックス線撮影(レントゲン撮影)
心機能 心電図(標準12誘導、心拍数)
血中脂質 総コレステロール
中性脂肪(TG)
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
HDLコレステロール(善玉コレステロール)
糖尿病 空腹時血糖値
ヘモグロビンA1c(HbA1c)
肝臓・胆道・膵臓の機能 GOT(AST)、GPT(ALT)
γ-GTP
ALP
腎臓の機能 クレアチニン(Cr)
尿素窒素(BUN)
尿糖
尿蛋白
尿潜血反応
上部消化管エックス線撮影(バリウム検査)もしくは上部消化管内視鏡経鼻内視鏡
大腸 便潜血反応(免疫2回法)
貧血 ヘマトクリット(Ht)
ヘモグロビン(Hb)
赤血球数(RBC)
白血球数(WBC)

上記の一般健診に複数の検査項目を追加し、病気の早期発見や生活習慣の改善に活かす「付加健診」もあります。付加健診で追加される項目には、眼底検査肺機能検査(肺活量、努力性肺活量、一秒率(FEV1/FVC%)ほか)、肝臓・胆道・膵臓(総蛋白、アルブミン、総ビリルビンLDH)、腹部エコー、血液一般(血小板数血液像)、尿検査(尿沈渣)などがあります。

付加健診は希望者の全てが受診できるわけではなく、一般健診を受診する年度に40歳もしくは50歳となる方に対象者が限定されています(詳細は全国健康保険協会へ)。

健診は検査項目ごとに結果を数値で表したり、異常の有無を示します。また、複数の項目から、脂質代謝、糖代謝、肝機能、腎機能などを調べ、「異常なし」「経過観察」「要再検査」「要精密検査」などと判定されます。

基準値について
数値で示される検査項目には「基準値」が設けられています。健康な人の集団の検査値をもとに、その95%の人が含まれる範囲を統計的に求めた値が基準値とされ、医療機関ごとに値が違うことがあります。各検査値が基準値の範囲内であれば、問題ないとされます。

生活習慣病を予防する
毎年の検査結果は保管しておき、今回と前回の値を比べてみましょう。基準値の範囲内であっても、前年から大きく変動している場合は、注意が必要です。例えば、中性脂肪(TG)やLDLコレステロールの数値が高くなっている場合は、現在の生活習慣をそのまま続けるとさらに値が上昇し、「脂質異常症」になる可能性があります。

また、生活習慣病に関係する検査項目の場合、値が基準値の範囲を少々外れていても、「再検査」ではなく、「経過観察」と判定されることがよくあります。これは、「すぐに治療を始めるほどではないが、生活習慣病を改善する必要がある」という意味です。

生活習慣病があると、動脈硬化が進み心筋梗塞などが起こりやすくなります。その予防のためにも、生活習慣の改善に取り組みましょう。

隠れた病気を見つける
「要再検査」あるいは「要精密検査」と判定された場合、病気がある可能性があります。必ず医療機関を受診して診断を受けたり、治療を受けることが大切です。

健診の必須項目!あなたの肥満度と標準体重が簡単にわかるBMIの計算式

健診で実施される検査のほとんどの項目は自分で測定することはできませんが、血圧測定(家庭用血圧計が必要)と肥満度を測定する「BMI」は例外です。血圧について上記のリンク先に詳細があるので、ここではBMIを紹介したいと思います。

体脂肪率に替わるBMI

従来、肥満度を測定する指標としては「体脂肪率」が広く用いられてきましたが、一般に販売されている測定器はメーカーによって測定値にズレが生じたり、両手でバーを握るタイプの測定器は、手足が濡れていると正確な数値が出せないという欠点がありました。

ちなみに体脂肪率は成人男性の場合、25%以上30%未満で「軽度の肥満」、30%以上35%未満で「肥満」、35%以上で「極度の肥満」と判定されます。

そこで近年、より精度の高い肥満度の測定法として広く普及しているが、BMI(Body Mass Indexの略語=体格指数)です。BMIの計算方法は簡単でお手元のスマホの計算機能を使えばその場でご自身の肥満度を把握できます。

BMIの計算式=体重(kg)÷身長(m)
(正常値は18.5以上25未満、25以上で肥満)

例えば体重70キロ、身長175センチ(=1.75メートル)の場合、計算式は70÷(1.75×1.75)=22.8となり、肥満度は「正常の範囲内」と判定されます。

BMIは「肥満度」だけでなく「標準体重」を求めることが可能で、こちらの計算式も簡単で以下の通りです。

標準体重の計算式=身長の2乗×22
(標準体重の上下10%までの体重が理想)

例えば上記の身長175センチ(=1.75メートル)の人の標準体重を求めるには、(1.75×1.75)×22=67.3キログラムとなります。

なお健診や特定健診(通称メタボ健診)では内臓脂肪量の評価、メタボリックシンドロームの判定を目的として「腹囲」の測定も行います。男性では85センチ以上、女性では90センチ以上の腹囲で「内臓脂肪型肥満」と判定されます。


 
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