病院の検査の基礎知識

肝臓や骨、小腸、胎盤などに多く含まれるALP(アルカリホスファターゼ)

ALPは、アルカリ性の状況下でリン酸化合物を分解する酵素です。肝臓や骨、小腸、胎盤などに多く含まれ、これらの臓器がダメージを受けると血液中に流れ出してきます。

肝・胆道疾患の指標として用いられます

多くの場合、肝臓と骨の異常により血液中で上昇します。ALPは肝臓から胆汁中に流れ出します。胆汁とは肝臓がつくる液体で胆管という管を経て十二指腸に流れていきます。

この経路に石や腫瘍ができると胆汁は流れにくくなり、ついには逆流して血液中に漏れ出るようになります。このような胆道の閉塞や狭窄と呼ばれる状態のときにALPが血液中で高値となります。

ALPはどのように検査するのか?
血液を採取して調べます。キンド・キング法(KAU)、ベッシー・ローリー法(BLU)など、単位が違ってきますが、最近はIU(国際単位)が多く使われています。

基準値

  • P-NP法…58〜200IU/l
  • キンド・キング法…3.0〜10.0KAU
  • ベッシーローリー法…0.8〜2.9BLU

検査結果の判定
基準値を超えてALP値が高くなっているのは、胆汁の流れが完全に止まって黄疸が出てくるようなときです。胆道が詰まって胆汁の排出が阻害されると、胆汁中に存在したALPは肝細胞を逆流して血液中に増加します。同時に肝細胞では盛んにALPが生成されるため、いっそう増加します。

肝臓の病気による黄疸

黄疸は色々な病気によって起こります。急性肝炎の黄疸では、ALPはそれほど上昇しませんが、細胆管性肝炎、胆汁性肝硬変、がんや胆石が原因の総胆管閉塞による黄疸では非常に高い数値を示します。

ALP値が著しく高くなった場合、そのアイソザイム(同じはたらきをするが分子構造は異なる酵素群)を測定し、どれが多いか見極めることが診断の重要な手がかりとなります。ALPアイソザイムの6種類(ALP1〜6)について、高値のとき疑われるは病気は以下の通りです。

  • ALP1…閉塞性黄疸、限局性肝障害
  • ALP2…各種肝疾患、胆道系疾患
  • ALP3…骨の病気(健常小児に多い)、副甲状腺機能亢進症
  • ALP4…悪性腫瘍の一部、妊娠後期
  • ALP5…肝硬変、慢性肝炎、慢性腎不全
  • ALP6…潰瘍性大腸炎

アイソザイム検査で疾患部位が特定できたら、自他覚症状からそれぞれの病気に適した検査法が選択され、確定診断されます。

異常があったらどうするか?
ほかの肝機能検査、特にGOT・GPTLAPγ-GTPなどの値も参考にして診断します。ALPが異常値で、GOTやGPTの値にも異常がある場合は、肝臓や胆道系の病気が疑われます。

特に慢性肝炎や肝硬変、栄養過多による脂肪肝などの慢性疾患、探査機などの胆道系疾患では、GOTやGPT値が軽度から中等度上昇し、ALP値も少し上昇します。

胆道の閉塞、狭窄や肝内うっ血では、LAP値やγ-GTP値も、しばしば同時に上昇します。ALPが異常値でもGOTとGPTが異常値ではない場合は、肝臓や胆道系以外の病気が疑われます。その場合は前述のALPアイソザイム検査やLAP、γ-GTPなどの検査を行ないます。

異常な場合に疑われること
閉塞性黄疸、慢性・急性肝炎、肝硬変、肝臓がん、胆汁うっ滞、胆石、胆道系のがん、すい臓がん、がんの骨転移、骨軟化症、甲状腺機能亢進症、慢性腎不全など


 
Copyright 2023 病院の検査の基礎知識 All Rights Reserved.