糖尿病や高尿酸血症の検査の一覧(全12項目)
健康な人は膵臓からインスリンというホルモンを大量に分泌させ、食事で増えた血液中の糖(ブドウ糖)を代謝するので、血糖値は数時間で元に戻ります。ところが、インスリンの分泌または作用が不足すると、糖の代謝異常が起こり、慢性的に高血糖が続きます。これが糖尿病です。国内の糖尿病患者は1000万人、予備軍を合わせると2000万人に達しています(平成28年 厚生労働省「国民健康・栄養調査」のデータより)。
初期には自覚症状は現れませんが、病状が進むと、のどの渇き、多尿、倦怠感、体重減少などの症状が見られるようになります。進行すると、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害などの合併症が現れます。また、メタボリックシンドロームと呼ばれる病態に加え、喫煙などの多くの危険因子が重なると、脳梗塞や心筋梗塞など、生命にかかわる病気を引き起こします。
- 血糖値の測定…糖尿病の有無、その治療や管理の指標として欠かせません。
- 尿糖値の測定…糖尿病のスクリーニング(ふるいわけ)検査として行なわれます。
- 血中インスリン活性…境界型の糖尿病(予備軍)を早期発見する手がかりになります。
- ブドウ糖負荷試験…膵臓から分泌されるインスリンの働き具合を調べます。
- C-ペプチド(CPR)…膵臓から分泌されるインスリンだけを測定できます。
- HbA1c…過去1〜2ヶ月の血糖の平均的な状態を知ることができます。
- グリコアルブミン…過去の血糖値の変動を推定できる指標として利用されています。
- フルクトサミン…過去2週間の平均的な血糖の状態がわかります。
- 1.5AG…軽症糖尿病の過去数日間の血糖コントロールの指標として利用されています。
- 尿中アセトン体(ケトン体)…糖尿病の管理が上手くいっているかを調べます。
- 尿酸…痛風や結石の原因となる血清中の尿酸の濃度を測定し、病気を診断します。
- 特定健康診査…国のメタボ対策の柱として2008年に導入される健康診断です。
糖尿病の診断は、朝食前の空腹時に血糖値(=空腹時血糖値:FPG)を測定することが不可欠で、血糖値が110未満で正常、126以上が糖尿病となります。
空腹時の血糖値では糖尿病と診断されないもののインスリンの分泌が低下している時は、コップに入れたブドウ糖(ほぼジュース)を飲み、30分ごとに採血で血糖値を測定する「ブドウ糖不可試験」が実施されます。この検査により血液中の糖分を処理する能力(=インスリンの働き具合)がわかり、空腹時の血糖値の数値と組み合わせたパターンによって「糖尿病型」「正常型」どちらにも属さない「境界型」に分類することができます。
このほか、赤血球に含まれるヘモグロビンと糖が結びついたHbA1c(グリコヘモグロビン)を測定することがあります。この検査は全ヘモグロビンのうちHbA1cが何%を占めているかを見ることで、過去1か月間〜の平均的な血糖の状態を把握するものです。