病院の検査の基礎知識

糖尿病を見つけ出すスクリーニング(ふるいわけ)検査

尿糖とは、血液中のブドウ糖(血糖)が尿中に漏れ出てきたものです。ブドウ糖は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きによって、細胞に取り込まれて我々の生命活動に必要なエネルギーに変わります。そして、最終的には二酸化炭素と水になって、余計な水分は尿として体外に排泄されます。健康な人の場合、尿中にブドウ糖が漏れ出すのはほんのわずかですが、この尿中に出てしまったものが尿糖なのです。

変色具合で判断する定性検査

尿糖を調べると何がわかるのか?
腎臓はブドウ糖がかなり高値になっても、尿中に漏出させない仕組みになっています。血糖値が160〜180mg/dlを超えないと、糖は尿中には出てきません。しかし、糖尿病などで血糖値がこれ以上に高くなると、腎臓での糖の処理能力が限度を超えて尿中に糖が漏れ出てきます。

したがって、尿糖検査は糖尿病を見つけ出すスクリーニング(ふるいわけ)として行なわれますが、この数値が陽性であっても必ずしも糖尿病とはいえません。生活習慣病対策として2008年4月から導入された特定健診でも尿糖の測定は必須となっています。

尿糖はどのように検査するのか?
検査方法としては、試験紙を尿で濡らしたときの変色具合で判断する定性検査と、1日分の尿にどれくらいの糖が出ているかを測定する定量検査があります。一般には、定性検査で尿糖が出ていると認められた場合に定量検査が行なわれます。検査当日の食事はふつうにとってかまいませんが、飲酒は控えてください。

基準値

  • 定性検査…陰性(−)
  • 定量検査…1日1g以下

検査結果の判定
尿糖が出ていなければ、定性検査では陰性(−)を示し正常です。また、定量検査で尿糖の量が1日1g以下なら、基準範囲です。副腎皮質ホルモンなどの服用や妊娠中などでも陽性になることがあります。一方、定性検査で疑陽性(±)か陽性(+)なら、糖尿病が疑われます。定量検査では尿糖が1日1gを超えると異常値となります。

異常があったらどうするか?
糖尿病が疑われると空腹時血糖値血中インスリン濃度を検査し、さらにブドウ糖負荷試験などで調べて診断していきます。甲状腺機能亢進症が疑われるならホルモン検査を行ない、診断を確定します。腎性糖尿が疑われると、約10%が糖尿病に移行する可能性がありますので、年に一度は検査を受けておくと安心でしょう。

糖尿病と診断されたら、治療を開始します。重症度により食事療法、薬の用法、インスリン注射などの治療方法が違いますので、専門医に相談して定期的に状態をチェックしてもらいましょう。

異常な場合に疑われること
糖尿病、腎性糖尿、甲状腺機能亢進症などのホルモン異常、クッシング症候群など


 
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