病院の検査の基礎知識

循環器の病気(心臓、血管、高血圧)の検査の一覧(全24項目)

循環器の病気は、心臓の病気(不整脈、狭心症、心筋梗塞、弁膜症)、血管の病気(大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症)、高血圧症の3つに分けられます。これらの循環器の病気は日本人の死因で第2位を占めています。

心臓疾患、血管の病気、高血圧症があります

循環器の病気の多くは、血管の弾力性が失われたり、血管の壁にコレステロール等が付着して血液の通り道が狭くなってしまう「動脈硬化」が原因です。そのため循環器の検査では動脈硬化の状態や危険因子を把握するための項目(血液検査、血圧、頸動脈エコー、血管年齢の測定ほか)が複数用意されています。

なかでも頸動脈エコーは、血管の狭窄の程度や血管の厚み(IMT)を診ることで、動脈硬化とその進行度を視覚的に把握できるとても有用な検査です。

動脈硬化を促進し、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞等のリスクを高める高血圧症は、日本高血圧学会のガイドラインで「最高血圧140mmHg以上、または最低血圧90mmHg以上」と定義されています。血圧の測定は自宅でも客観的な数値がわかる貴重な項目ですので、生活習慣の改善(主に減塩、適度な運動)に役立てましょう。

不整脈や狭心症、心筋梗塞などの多くの心臓の疾患の診断には心電図の検査が行われます。また心臓の形と働き具合を医師がリアルタイムで観察できる心エコー(超音波検査)は患者さんへの負担が少なく、心肥大や弁膜症などの診断に有用です。

  • 血圧測定…血圧は動脈硬化や脳卒中などの病気を予防する上で重要な指針になります。
  • 頸動脈エコー…動脈硬化を調べることで、心臓の血管障害のリスクがわかります。
  • 胸部X線検査…弁膜症、拡張型心筋症や心筋梗塞などの発見の手がかりとなります。
  • 心電図検査…心臓病の発見や診断、病状の把握、治療効果の確認などに欠かせません。
  • 負荷心電図…心臓に負担をかけ、これに伴う心筋の変化を心電図で観察します。
  • ホルター心電図…24時間の心電図を持続的に記録して、後日、解析して診断します。
  • 心音図・心機図検査…心臓の先天性疾患や心臓弁膜症などの診断に有用です。
  • 総コレステロール…動脈硬化や心臓病などの循環器障害の診断や経過判定に有用です。
  • LDLコレステロール…動脈硬化を引き起こす原因となる、「悪玉コレステロール」。
  • HDLコレステロール…血管内壁に付着して動脈硬化を引き起こすLDLを引き抜きます。
  • 中性脂肪…血液中に増加してくると、動脈硬化を進める一因になります。
  • リポたんぱく…心筋梗塞や脳梗塞などのリスクの目安となります。
  • 心臓超音波検査(心エコー)…超音波を利用して心臓の動きと働きを観察します。
  • 心臓核医学検査…静脈に放射性同位元素を注射し、心臓の血液の流れを映し出します。
  • 心臓カテーテル検査…先天的心疾患や心臓弁膜症の診断や重症度判定に有用です。
  • 冠動脈造影検査…造影剤で冠動脈を造影して血管の状態を調べたり、治療を行います。
  • シネMRI…心臓の動きを1心拍16〜40コマの動画で表示する画像診断法です。
  • 電気生理学的検査…心臓へ電極を挿入し、内部の電気活動の状態をとらえます。
  • 不整脈の立体画像検査…不整脈の電気刺激を立体画像で表示する診断法です。
  • マルチスライスCT…あらゆる角度、方向から、心臓を立体的に映し出します。
  • 心筋梗塞マーカー…心筋細胞の壊死により漏出したトロポニンの増加を調べます。
  • CAVI(心臓足首血管指数)…血管の老化度(血管年齢)を直接調べる検査です。
  • ABI・PWV検査…動脈硬化の度合いや早期血管障害を検出することができます。
  • クレアチンキナーゼ…急性心筋梗塞、筋ジストロフィーで著しく上昇します。
  • 心筋生検…心臓の筋肉を採取して、顕微鏡で観察し、心臓の異常の原因を調べます。

 
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