病院の検査の基礎知識

EAM法の登場で治療の難しい不整脈の大半を根治させることが可能に

心臓は、心筋の特定の場所から一定のリズムで発生する電気刺激を受け、規則的に拍動し、全身に血液を送り出しています。一般的な不整脈は、正しい拍動のほかに余計な電気刺激が起こってリズムが乱れ、心不全など命にかかわる発作が起こる場合があります。

不整脈の立体画像検査について

こうした不整脈は、余計な電気刺激を止めることができれば治ります。しかし、電気刺激は目には見えないために、専門医が経験に基づいて心電図を何とか読み取ろうとするしかありませんでした。

EAM法(CARTOシステム)は、この見えない電気刺激を立体画像で表示する診断法です。以前は心電図などを使って数時間調べても、不要な電気刺激の発生源を突き止められず、治療を断念したケースも多々ありましたが、EAM法により、実態のつかみづらかった不整脈を「見る」ことができるため、治療の難しい不整脈の大半を根治させることが可能になりました。

EAM法による診断はどのように行なうのか?
特殊な磁石を取り付けたベッドに仰向けになって横になり、カテーテルという電極のついた細い管を足の付け根の血管を介して、心臓まで挿入します。カテーテルには、磁気を感知し、電気刺激を測定する装置が付いており、コンピューター画面上に心臓の電気信号が現れます。

画面上では、不整脈の原因となる電気信号が到達した場所が、時間順に赤から橙、黄、緑、青へと色で表示されるので、赤色の部位が発生源だと一目でわかります。
この画像を見ながら、この部位から出る電気信号の伝達経路の一部を、50〜60度に熱した治療用カテーテルで焼いて遮断すると、不整脈は起きなくなります。
なお、電気刺激の発生源を突き止めてから、焼く処置までを一気に行なうので、全身麻酔が必要となります。

EAM法を適切に扱うには医師の熟練した技術が必要なため、このシステムが導入されている医療機関は全国でも限られています。また、EAM法で不整脈を治療しても、拡張型心筋症など心臓の筋肉自体が弱っている場合は、別の場所から新たな不整脈が発生することもあります。


 
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