腎臓と泌尿器の病気の検査の一覧(全23項目)
腎臓は下の画像のように、背中側の腰の位置にある臓器で、血液中の老廃物、余分な水分や塩分などを尿として体外に排出する「体の排水処理場」の役割を果たしています。また血圧や体内の水分量、電解質バランスを調節したり、造血ホルモンをつくるなどの働きもあります。
腎臓の機能(主に老廃物を濾過する力)を調べる代表的な指標はクレアチニン(Cr)と尿素窒素(BUN)の数値です。健診や人間ドックの「腎機能検査」とは、採血でクレアチニンと尿素窒素の数値を測ることを指します。いずれも腎臓から排泄されるので、腎臓の機能が低下すると血液中の濃度が高くなってしまうのです。
また尿中のクレアチニンと血液中のクレアチニンの量を比較する(クレアチニン・クリアランス:CCr)と、腎臓で処理される血液量が把握できるので、さらに詳しく腎機能がわかります。
尿を調べて腎機能を調べる項目としては、尿蛋白と尿潜血があります。これらの結果が「陽性」だった場合には、尿の中に含まれている細胞を観察する尿沈渣(にょうちんさ)を実施することで腎臓や膀胱などの炎症がわかります。
近年は腎臓の機能低下を早期に発見するため「eGFR(推算糸球体濾過量)」の測定が行われます。eGFRはクレアチニンの数値と年齢、性別から計算される値のことで、この値が低いほど腎臓の働きが悪いということになります。eGFRの計算は日本腎臓学会のサイトで手軽に行えます。
- 尿量…尿量を測定して腎機能に障害がないかを調べます。
- 尿比重…尿の濃さの変化を調べ、主に腎臓の病気を探る手がかりとします。
- 尿素窒素(BUN)…腎機能が正常に機能しているかを知る重要な指標です。
- 尿蛋白…腎臓に障害があると、タンパク質は尿中に漏れ出てしまいます。
- 尿沈渣…尿タンパクや尿潜血などの定性検査で陽性と出たときに行なわれます。
- 尿潜血反応…炎症や結石、腫瘍の発見の手がかりとして用いられています。
- クレアチニン(Cr)…腎機能のスクリーニングや経過観察に用いられます。
- クレアチニン・クリアランス(CCr)…糸球体が老廃物を取り除く力を調べます。
- PSP試験…PSPを血管内に注射して、一定時間内にどれだけ排出できるかをみます。
- 腎動脈造影…血管造影によって、腎臓や副腎の病気を診断します。
- 腎盂造影…血尿の原因をはっきりさせるために行なう検査の一つです。
- 腎臓の超音波検査…超音波を利用し、腎臓、副腎、後腹膜の状態を観察します。
- 腎CT検査…腎腎臓、副腎、膀胱などの泌尿器系の疾患の診断に利用されています。
- 腎シンチグラフィー…腎臓の変化をシンチカメラで検出して、画像処理します。
- 膀胱尿道造影…排尿障害が現れ、前立腺肥大症が疑われたときに行われます。
- 膀胱鏡検査…金属製の筒を、尿道口から挿入して、尿道と膀胱を観察します。
- 腎生検…穿刺針を刺して腎臓に届かせ、腎臓の組織を採取して、顕微鏡で調べます。
- 前立腺針生検…前立腺に針を刺して疑わしい組織をとり、染色して細胞を調べます。
- 直腸診…前立腺肥大症や前立腺がんの発見、診断に役立ちます。
- PSA検査…前立腺がんの発見のスクリーニング検査として行なわれます。
- 酸性ホスファターゼ…かつては前立腺がんの腫瘍マーカーとして利用されていました。
- 国際前立腺症状スコア…過去1ヶ月の排尿状態を回答し、結果を点数で表わします。
- 電解質…体液中のイオン濃度を測定し、バランスの崩れで体内の障害を診断します。
腎臓や尿路のどこかに異常が起こると、頻尿になったり、逆に尿量が減り、水分が貯まってむくみが現れたりします。初期のうちは無症状のことも多いのですが、尿検査をすると尿潜血反応や尿蛋白の陽線反応がみられます。
腎臓病の早期発見には、尿の色に注意することがポイントです。薄いピンクや赤、茶褐色の血尿、尿が泡立って泡がなかなか消えない(タンパク尿)などは腎臓からのSOSサインですので、医療機関(主に泌尿器科や腎臓内科)を受診しましょう。