病院の検査の基礎知識

腎臓の尿細管に機能障害があるかどうかがわかります

PSPとは、「フェノール・スルホンフタレイン」という人体に害のない紅い色素の略称です。腎臓には異物を濾過して体外に排泄させるという重要な働きがあります。腎臓の糸球体では有用成分もいったん濾過されてしまいますが、健康であれば、有用成分のほとんどは尿細管を通過するときに再吸収され、老廃物と異物だけが体外に排泄されます。

排尿後に水300〜500ccを飲みます

そこで、この色素を静脈からに注入し、どの程度の時間でどの程度の量が排出されるかをみることで、腎臓の機能を調べようというのがPSP試験(PSP排泄試験)です。

PSP試験で何がわかるのか?
PSPは血液内に入っても変化することなく、ほとんどが尿細管から排泄されますが、進行した腎炎やネフローゼ症候群、うっ血腎、水腎症などの尿細管の機能障害があると排泄が低下することになります。そのため、PSP試験は尿細管の機能を知るために欠かせない検査となっています。

PSP試験はどのように行なわれるのか?
排尿後に水300〜500ccを飲み、30分後にPSP試薬6mgを静脈内に注射して、15分後、30分後、60分後、120分後に排尿してPSP試薬の濃度を調べます。ただし、15分後の採尿分に37%以上のPSPの排泄がみられた場合には、腎臓の機能が正常と判定し、それ以上の検査は行わないこともあります。

検査を受けるときの注意
定められた時間以外にトイレには行くことはできませんので、事前に排尿を済ませておくことが大切です。どうしても我慢できない場合には医師か看護師の許可を得た上で指定された容器を利用して済ませます。また、PSPの排泄を阻害する作用を持つアスピリン、ペニシリン、プロベネシッドなどは休薬します。

基準値
採尿は数回行なわれますが、重要なのは15分後の値です。15分値で25%以上が基準値となります。

検査結果の判定
15分後のPSP排泄量が25%異常なら腎臓の尿細管は正常に機能していると判断されますが、25%未満であれば、腎臓の機能に何らかの障害があると考えられます。正常なら15分後には25〜50%、120分後には55%以上が排泄されます。

異常があったらどうするか?
腎機能を詳しく調べるため尿量尿素窒素クレアチニンクレアチニン・クリアランス電解質などの検査を受け、診断が下ったら指示に従って治療を進めます。

異常な場合に疑われること
急性腎炎、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、腎硬化症、水腎症、尿毒症など


 
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