腎臓の機能が低下すると尿素窒素(BUN)が異常値を示します
尿素窒素(BUN)とは、血清成分からタンパク質を取り除いた残りである残余窒素の30〜40%を占める成分です。生命活動のエネルギーとして使われたタンパク質の燃えかすとして生じるアンモニアを無害化するために、二酸化炭素と結びついた結果できたものです。
尿素窒素の検査で何がわかるのか?
通常、尿素窒素は腎臓でろ過されて尿中へ排出されますが、急性や慢性の腎不全などで腎臓の働きが低下すると、ろ過しきれない分が血液中に残ってしまい、尿素窒素の値が高くなります。また、タンパク質の取りすぎ、大量の消化管出血、甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍、脱水症状の場合も数値は上昇します。
逆に数値が低い場合、タンパクの摂取不足が考えられます。その他、尿素のほとんどすべてをつくっている肝臓の働きが悪い場合、すなわち重症肝障害、肝不全などでも数値は低くなります。
どのような検査か?
血液を採取し、分析器で測定します。
尿素窒素の基準値
尿素窒素の基準値は8〜21mg/dlですが、性別や年齢、季節で変動がみられます。
検査結果の判定
基準値を超えていたら、腎機能を調べるための様々な検査をします40mg/dlを超えたら腎不全が考えられ、さらに100mg/dl以上になったら尿毒症の起こる可能性が高く、かなり危険な状態です。
異常があったらどうするか?
異常値が出たら脱水、発熱、貧血、常用薬の有無などを検査して、後日再検査します。同時に、尿タンパクや、尿沈渣、クレアチニンなどの検査を行ない、診断の参考にします。
その他の一般検査でも異常値を示して腎臓の病気が疑われるのであれば、腎機能は正常の30〜40%に低下していると考えられます。
尿素窒素は値は、基本的には尿素の生成と排泄のバランスで決まりますので、タンパク摂取量、タンパク代謝機能、腎機能の3つの因子が深く関連しています。したがって、この値が常時50mg/dlを超える場合は、腎不全を起こしているとみてよいでしょう。
腎不全や脱水では尿素窒素の排泄障害により、また高タンパク食の多食や感染症、糖尿病、がんではつくられる尿素窒素の量が増えて高値になります。
肝不全や低タンパク食の持続では作られる尿素窒素の量が減り、また尿崩症では排泄される量が多くなって低値になります。
異常な場合に疑われること
腎不全、閉塞性尿路疾患、脱水、糖尿病、肝不全、高(低)たん白食摂取、甲状腺機能亢進症など