感染症の検査の一覧(全29項目)
病原微生物(病原体)が体内の臓器や組織に侵入して増殖し、生態に何らかの反応を引き起こすことを感染といいます。その結果起こってくる病気を感染症といいます。また、感染しても、発病しないことがあり、これを不顕性感染といいます。
感染症の原因となる病原体は、ウイルス、細菌、真菌(カビ)、原虫、寄生虫などで、細菌には一般の細菌、マイコプラズマ、クラミジア、リケッチア、スピロヘータなどが含まれます。感染経路としては、病原体を保有する人や動物、土壌などから直接感染する場合と、空気、水や食べ物、ほかの動物を介して、間接的に感染する場合があります。
検査は、病気の原因となる病原微生物を見つけたり、存在を確認するために実施されます。ウイルスの存在を確認する抗体検査や、細菌を特定する培養検査がその代表です。調べる検体は、血液をはじめ感染を受けた臓器の分泌液や尿、便、痰、胃液、髄液、膿などの体液が対象となります。
感染症は全ての臓器で起きる可能性があるため、診断の際にはこれらの検査に加えて、画像診断で臓器の形状を見極めたり、生理検査で臓器の機能を調べることも大切です。
- 細菌検査…臓器の分泌液や血液などから、病気の原因となっている細菌を検出します。
- ウイルス抗体価検査…体内に生じる抗体を検出して、ウイルス感染の有無を調べます。
- 赤沈…赤血球沈降速度の略で、主に炎症をともなう病気の有無や程度がわかります。
- CRP(C-反応性タンパク)…炎症の早期診断、病気の経過観察に役立ちます。
- HBs抗原・抗体…B型肝炎ウイルス感染の有無や、その程度を知ることができます。
- HCV抗体…C型肝炎の感染の有無を調べることができます。
- 結核菌検査…塗沫・培養検査で痰に結核菌が確認されるかどうかを調べます。
- ASO検査…高熱や関節痛を起こす病原菌として知られている溶連菌の有無を調べます。
- MRSA…メチシリン耐性黄色ブドウ球菌。新生児、高齢者の院内感染が問題に。
- 腸管出血性大腸菌O157…出血性の腸炎を起こす細菌で、食中毒の原因にもなります。
- ノロウイルスの検査…激しい嘔吐を主症状として、高齢者施設等での集団感染が頻発。
- ロタウイルスの検査…乳幼児の感染性胃腸炎の原因で、春に流行のピークを迎えます。
- RSウイルス感染症…乳幼児は激しい咳、喘鳴、呼吸困難などの症状が現れます。
- インフルエンザの検査…高齢者や子供、呼吸器疾患や心疾患の人は重症化しやすい。
- 風疹…妊婦が感染すると胎児が「先天性風疹症候群」で難聴や白内障の恐れも。
- 麻疹…高熱と顔・首・全身の赤い発疹が現れます。ワクチン接種による予防が大切。
- ヘリコバクター・ピロリ菌…胃の粘膜に感染するグラム陰性棹菌です。
- 寄生虫検査…テープで調べる方法や、血液で調べる免疫学的検査方法があります。
- 梅毒血清反応…妊婦検診や献血、手術の前後などにも必ず行なわれます。
- HIV抗体検査…エイズウイルスに感染しているかどうかがわかります。
- クラミジア…オーラルセックスで喉の感染が急増中。患者数が最多の性病。
- 淋病…男性では排尿痛、性器からの膿などが現れる性病です。女性は症状に乏しい。
- 尖圭コンジローマ…膣やペニス、肛門に白やピンク色の尖ったイボができる感染症です。
- 膣カンジダ症…外陰部の強いかゆみ、おりものの増加などの症状が現れる性病です。
- 膣トリコモナス症…悪臭を放つおりもの、陰部のかゆみで感染が疑われる病気です。
- 性器ヘルペス…性器に不快な症状が現れます。再発率が高いのが特徴です。
- ヒトパピローマウイルス…略して「HPV」。悪性型は子宮頸がんの原因となります。
- ブライダルチェック…不妊の原因となる性病の有無などを婦人科で調べます。
- 性病の検査…クラミジアや淋病、梅毒など若い世代に感染が広がっています。
近年は10代〜20代の若者、特に女性にSTD(性感染症)が拡大しています。女性は感染によって不妊症になったり、子宮外妊娠や流産・早産のリスクが生じますので、陰部がかゆい、排尿時に痛みがある、おりものが臭い、おりものの量が増えた、水疱やイボができた、デリケートゾーンの臭いが気になる…などの症状に心当たりがある場合は、婦人科で検査を受けて早期治療を心掛けましょう。
感染予防の基本は、セックスの際にコンドームを着用することと、不特定多数のパートナーを持たないことですが、コンドームで予防できない性病も少なくないことを理解しておきましょう。