風疹、麻疹、ウイルス肝炎の有無を調べるウイルス抗体価検査
ウイルスに感染したとき、血液や分泌物からウイルスを検出すれば確実に診断を下すことができます。しかし、ウイルスそのものを検出するのが難しいことが多いので、ウイルスに感染したときに体内に生じる抗体を検出することによって、ウイルスに感染したかどうかを調べる検査が行なわれます。これがウイルス抗体価検査です。
ウイルス(抗原)が体内に入ると間もなく、抗原に対抗する抗体という物質をつくります。抗体は免疫グロブリンというタンパク質で、そのうち感染の防御に関係しているのはIgMとIgGです。IgMはウイルスが体内に入ってくると間もなく増え始め、約2週間でピークに達した後減少して、1〜2ヶ月でほとんどなくなります。
一方、IgGはIgMに数日遅れて出現し、IgMが減少を始めても増え続け、ウイルスを退治した後も高い値を続けます。IgGはその後少しずつ減っていきますが、同じウイルスが再び侵入すると、2〜3日で急に増加してウイルスを追い払い、そのウイルスに感染することはなくなります。
ウイルス抗体価検査で何がわかるのか?
ウイルス抗体価検査には、ペア血清検査とIgM抗体検査があります。ペア血清検査は感染した直後と、それから10〜14日後に血清を採取して抗体の量を調べます。
IgM抗体検査は、発症してすぐに血液を採取してIgM抗体だけを調べ、その値が高ければ新たにウイルスに感染したということになります。なお、抗体の検査は感染してから約2週間くらいたたないと検出できないので、感染して間もない時期の診断には役に立ちません。
ウイルス抗体価検査はどのような検査か?
血液を採取し、血清を分析器にかけて検出します。
異常があったらどうするか?
自覚症状やその他の検査から病気を診断し、治療が必要な場合には医師の指示に従って治療を進めます。妊婦さんが風疹に感染すると、子宮内で胎児に感染(先天性風疹症候群:胎児の感覚器が形成される妊娠3ヶ月以内の感染が影響)する恐れがあるため、罹患時期を特定することが重要になります。IgM抗体が検出された場合には、3ヶ月以内に感染があったと考えられます。
異常な場合に疑われること
風疹、麻疹(はしか)、ウイルス性肝炎、エイズ、成人T細胞白血病(ATL)、ポリオ、クラミジアなどのウイルス感染症