腎臓、尿管、膀胱などの異常を発見する尿潜血反応
尿に血液が混じっているかどうかを調べる検査です。健康な人でも、1日におよそ2万個の赤血球が尿中に排泄されていますが、腎臓や膀胱、尿道などに異常があるとこの量が増加します。
量が非常に多いときは肉眼ではっきりわかるほどに尿の色が赤くなります(血尿)が、ごくわずかな量だとそれほど赤くなりません。そこで、試薬の反応を利用してわずかな血液の混入を確認するのが、尿潜血反応の検査です。
尿潜血反応をみると何がわかるのか?
尿中に赤血球が混じるのは、主に腎臓や尿管、膀胱といった尿の通り道(尿路・尿道)になんらかの異常が起きている場合です。それらに起きる炎症や結石、腫瘍を発見する手がかりとして尿潜血反応が用いられています。
尿潜血反応はどのように行なうのか?
採尿した尿に試験紙を入れ、その変色の度合いを見ます。なお、採尿する際は、尿の出始めと終わりは捨てて、中間の尿だけを採取します。
基準値
陰性(-)が正常値となります。健康な人でもわずかに赤血球が尿中に出ることがありますが、試験紙の判定ではほとんどが陰性になります。
検査結果の判定
疑陽性(±)または陽性(+)が異常値です。陽性の場合に疑われる病気は、膀胱炎、腎炎、結石がほとんどです。ただし、血液成分のヘモグロビンやミオグロビンだけが尿中に出ている場合も、試験紙では陽性反応が出ます。
異常があったらどうするか?
過労などからくる一過性で害のない尿潜血もあるので、診断確定には複数回の検査が必要です。再検査でも陽性と出たら、まず尿沈渣で尿に出ている赤血球数を確認し、クレアチニンや電解質、尿タンパクなどの検査を行なって腎機能を調べます。
さらに、腎盂(尿路)造影や超音波検査で結石や腫瘍の有無を調べます。急性腎炎が疑われる場合は、腎生検を行ない、診断が確定されます。
異常な場合に疑われること
- 腎臓…急性・慢性腎炎、腎結石、腎膿瘍、遊走腎など
- 尿管…尿管結石、尿管腫瘍、尿管異物など
- 膀胱…膀胱炎、膀胱結石、膀胱腫瘍など
- 尿道…前立腺炎、前立腺腫瘍、尿道炎など
- その他…白血病や紫斑病などの出血傾向のある病気、溶血性疾患など