前立腺肥大症とがんを区別するうえで重要な検査です
前立腺は、男性にのみある生殖器官です。多くの男性は、50歳代後半になる頃から、尿の出に勢いがなくなる、尿の切れが悪い、尿が出始めるまで時間がかかるなどの症状を自覚し始めます。これらの症状は、前立腺肥大による初期症状と考えられ、この場合に行なう検査の一つが膀胱尿道造影検査です。
膀胱尿道造影検査で何がわかるのか?
前立腺は、尿道の根部(膀胱との境)にあり、これが肥大すると尿道を圧迫して排尿障害をおこします。前立腺がんでも、前立腺は大きくなり、初期には前立腺肥大症と同じ症状を示すため、がんと肥大を区別するためにも重要な検査です。その他、尿道狭窄、尿道憩室、外傷、膀胱がんなどの診断のためにも行なわれます。
膀胱尿道造影検査はどのような検査か?
排尿してから検査を始めます。まず、ズボンや下着はすべて脱ぎ、タオルを腰に巻いて検査台に仰向けになり、造影剤を使わない状態で膀胱部の写真を1枚撮ります。
次に、外尿道口から麻酔薬の入ったゼリーを塗ったカテーテル(細い管)を約3cm挿入、カテーテルを通して造影剤を注入しながら尿道の正面の写真を、さらに45度ほど体を起こして、再び造影剤を注入しながら同じ部分の写真を撮ります。
最後に、再び造影剤を注入して、膀胱部の正面像を撮影します。造影剤の注入時は、痛みはほとんどありません。検査にかかる所要時間は約20分くらいで、外来でもできます。
膀胱尿道造影検査を受けるときの注意
検査の前に排尿します。検査の後は水分をたくさんとって、造影剤を早く排泄するようにしましょう。検査後に少量出血することがありますが、じきにきれいになります。多量の出血が続くときには病院に連絡してください。
検査結果の判定
前立腺が大きくなっていると、膀胱が圧迫されている形が写しだされます。前立腺肥大の場合にはその線が滑らかですが、がんの場合には不整になります。
異常があったらどうするか?
前立腺がんが疑われるときには、CT検査や前立腺生検を行なって確認し、手術を行ないます。前立腺肥大の場合には、排尿障害の程度を診断し、必要に応じて手術を行ないます。
異常な場合に疑われること
前立腺肥大、前立腺がん、尿道狭窄、尿道憩室、膀胱がんなど