病院の検査の基礎知識

放射性同位元素を体内に注入して、腎臓の変化を検出して、画像処理します

腎臓は、尿素クレアチニンなどの体の老廃物を濾過して尿の中に排泄したり、体の中の水分や電解質(ナトリウムやカリウムなど)の調節、さらにレニンなどの血圧の調節をするホルモンの一部を分泌するなどの働きがあります。腎シンチグラフィーは、これらの腎臓の働きをみる検査で、放射性同位元素(RI=ラジオアイソトープ)を体内に注入して、腎臓の変化をシンチカメラで検出して、画像処理して判定するもので、腎核医学検査とも呼ばれています。

レノグラム

腎シンチグラフィーには、腎臓の血流や糸球体での濾過能力など、腎臓の機能をみる腎動態シンチグラフィーと、腎臓の位置や大きさ、病変部位を調べるなど、腎臓の形態をみる腎静態シンチグラフィーの2つのタイプがあります。

腎動態シンチグラフィー
腎通過尿量を確保して検査結果の評価が行なえるように、検査20〜30分前に水200〜300mlを飲み、排尿してから核医学検査室で行ないます。γ(ガンマ)線を放出するアイソトープを静脈注射し、直後からγ線を感知するシンチカメラを腰部に近づけ30分連続して撮像し、画像解析します。

この検査では、アイソトープの腎臓への集積、排泄される様子を時間を追って画像の変化でとらえることができ、腎実質障害と尿路排泄障害との鑑別や、障害の程度を視覚的に確認できます。移植腎の急性拒絶反応の診断にも有効です。

また同時に撮影できるレノグラムでは、腎臓に流れ込む腎動脈の血流の様子、糸球体濾過値などを左右別々の腎臓で知ることができます。ヨード剤にアレルギーのあるために腎盂造影検査を行なうことができない場合、この検査が非常に有効です。

腎静態シンチグラフィー
使用するアイソトープは長時間、腎臓の皮質に集積し、尿中にほとんど排泄されないので、腎臓の形態をみるのに適しています。アイソトープを静脈注射して2時間後に撮影します。

この検査で、腎臓の位置、大きさ、形態、病変部位などが確認でき、左右の腎RI摂取率なども測定されます。慢性腎炎、腎不全、腎梗塞、馬蹄腎(左右の腎臓がつながっている形体異常)、腎損傷の診断、腎盂腎炎などの感染後の腎瘢痕の早期診断、腎移植後の残存機能の評価などに有効です。

異常な場合に疑われること
慢性腎炎、腎不全、腎梗塞、馬蹄腎、腎損傷など


 
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