高血圧やむくみの原因(ネフローゼ症候群など)を調べます
レニンは、腎臓で分泌されるたんぱく分解酵素で、血圧を上昇させる作用を持っています。レニンは、肝臓でつくられるアンギオテンシンというホルモンを介して、アルドステロンというホルモンの分泌を促進します。アルドステロンは副腎でつくられており、ナトリウムの再吸収を促進し、血液量を増やして血圧を上昇させます。
血圧が上がると腎臓へ流れる血液の量は増えますが、それによってレニンの分泌が抑制されます。その結果として今度は血圧は下がるということになります。このようにして、レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系は血液量の保持と、血圧を一定に保つことにより血液の循環を正常にしようと調節しているのです。
レニン、アンギオテンシンを調べると何がわかるのか?
高血圧は生活習慣病の中で最も多い疾患ですが、その80〜90%は本態性高血圧症と呼ばれる原因不明のものです。レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系のどこかに、異常が生じると、高血圧になったり、水分代謝がうまくいかなくなって、むくみが見られるようになります。そのため、高血圧やむくみの出る病気の原因を確かめたり、病状を診断したり、治療法の選択のために、この検査が行なわれます。
レニン、アンギオテンシンはどのように検査するのか?
検査前の1時間ほど安静にしてから血液を採取します。
その後、採取した血液を遠心分離器にかけ、血漿部分をラジオ・イムノアッセイ法(放射性同位元素を利用して検査法)で調べます。なお、検査前日の夕食後から飲食は禁止となっています。
基準値
- レニン…臥位で0.2〜2.7ng/ml/時間
- アンギオテンシンT…110pg/ml以下
- アンギオテンシンU…22pg/ml以下
検査結果の判定
基準値より大きな値がみられたら、薬物を服用している場合は、投与を中止して2週間以上たってから再検査します。入院患者では、同じ日に時間を変えて、3回以上採血して日内変動を調べます。
異常があったらどうするか?
腎動脈の狭窄などが原因で、レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系の分泌が過剰になっておこる腎血管性高血圧では、外科的に狭くなった動脈を広げて、腎臓へ流れる血液を増やす手術を行なう場合があります。
異常な場合に疑われること
- 高値…腎血管性高血圧、褐色細胞腫、悪性高血圧、ネフローゼ症候群など
- 低値…低レニン性本態性高血圧、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、肝硬変など