病院の検査の基礎知識

PSAは前立腺がんを早期発見するためのスクリーニング検査として重要

前立腺の上皮細胞と尿道の周囲の腺から特異的につくられて分泌される糖タンパクの一種を前立腺特異抗原といいます。英語表記のProstatic Specific Antigenの頭文字をとって、一般的にはPSAと呼ばれています。前立腺にがんができると、このPSAの分泌量が正常の2倍以上に増えるために、早期がんの発見のスクリーニング検査として行なわれるほか、進行がんの診断や治療経過を見るうえでも大変重要な検査となっています。

前立腺がんの検査に欠かせません

なお、前立腺がんのスクリーニングとして早くから用いられていたPAPは、早期がんの検出率はあまり高くなく、がんの転移の発見や治療効果、経過観察などに役立てられています。

前立腺特異抗原(PSA)はどのように測定するのか
血液を採取して測定します。約1mlの血液で調べることができるので、一般の血液検査と同時に行なうことができます。そのため、生活習慣病検診でもPSA検査が実施されるようになっています。

基準値(タンデム法)
4.0ng/ml以下

検査結果の判定
PSAは、値が高くなればなるほど、前立腺がんである危険性も高くなります。ただ、「どの値からが前立腺がんだ」という明確な基準はありません。上記のタンデム法を基準にすると、4.0ng/ml以下を正常、4.1〜10ng/mlをグレーゾーンといい、がんの危険性は20〜30%、10.1ng/ml以上では強くがんが疑われ、がんの危険性は50%以上になります。

泌尿器科で定期検査を受診

PSA検査は、前立腺がんのスクリーニングとしてきわめて有効な方法ですが、前立腺がんのみに特異的なマーカーではなく、前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇します。そこで、PSA検査だけで前立腺がんを見分ける確立を高くするために、ざまざま診断方法が研究されています。これらの診断法のおかげで、PSA検査の精度は大幅に向上しました。症例によっては、PSA検査単独で前立腺生検の判断ができたものもあります。

異常があったらどうするか?
PSA値が高くても、本当にがんか、また、がんの進行度や広がりまではわかりません。まず、肛門から指を入れる直腸診で前立腺の状態を調べ、MRI、経直腸的超音波検査などを行ない、がんが疑われたら、組織片を調べる前立腺生検で確定診断をつける必要があります。

異常な場合に疑われること
高値…前立腺がん、前立腺肥大症、急性前立腺炎


 
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