病院の検査の基礎知識

心臓に負荷をかけて、狭心症や心筋梗塞の有無を調べる負荷心電図検査

心電図検査は安静に保ちながら行いますが、運動で心臓に一定の負荷(負担)をかけつつ、あるいはその直後に行い、心臓の筋肉の変化を観察するのが負荷心電図検査です。

エルゴメーター

安静時は健康体と変わらないのに、運動中や仕事中に狭心症の症状が出ることがあります。このように狭心症の疑いがある場合には、心筋での酸素需要を高め、心筋の虚血(心筋に酸素が十分供給されない状態)を意図的に誘発することによって異常の有無を調べることができます。また、通常の心電図検査で異常があったときや、運動中の胸痛、不整脈などの症状があるときによく行なわれる検査です。

負荷心電図検査はどのように行なうのか?
負荷をかける度合いは年齢や性別、病気の程度により異なりますが、運動方法は主に次の3通りです。検査時間は10〜20分程度ですが、胸の痛みなどを感じたら、すぐに申し出てください。

マスター法
安静にしている状態での心電図をとっておきます。次に2段の階段をメトロノームに合わせて昇降します。運動後1分、3分、5分、10分後の心電図をとり、安静の状態での心電図と比較します。

トレッドミル法
胸に電極を付けたまま、ベルトコンベア状の検査装置の上を歩きながら心電図をとります。ベルトコンベアの速度と角度の調節によりさまざまな負荷をかけることができます。

エルゴメーター法
胸に電極を付けたまま、自転車状の検査装置のへダルをこぎながら心電図をとります。ペダルの抵抗を調節することにより、さまざまな負荷をかけることができます。なお、このエルゴメーター法と上記のトレッドミル法は、心臓への負荷が強いので、必ず医師の管理下で行ないます。

異常があったらどうするか?
心電図に異常が認められ、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患が疑われる場合は、心臓超音波ホルター心電図心筋シンチグラフィ心臓カテーテル冠状動脈造影検査を、不整脈が疑われる場合は、ホルター心電図や胸部X線検査を行ないさらに詳しく調べます。

狭心症や心筋梗塞の原因になる動脈硬化は、肉類に含まれる動物脂肪の摂り過ぎで引き起こされます。これは、動物脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸が悪玉のLDLコレステロールを増加させ、それが血管壁に蓄積して動脈硬化の原因になるためです。

一方、植物油に多く含まれる多価不飽和脂肪酸は、善玉のHDLコレステロールを増加させ、悪玉のLDLコレステロールを減らす作用があります。魚の油も、EPAやDHAなどの多価不飽和脂肪酸を多く含んでおり、動脈硬化を予防する働きがあります。このように脂肪分の摂取は、肉類に含まれる動物脂肪を減らして、植物や魚から多く摂るようにするのが理想です。

異常な場合に疑われること
狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患、不整脈をともなう病気


 
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