肺や心臓の病気などを調べる胸部X線(レントゲン)検査
咳が出る、痰が出る、胸が痛い、息苦しいなどの症状があるときに必ず行なわれる検査で、一般診療や健康診断、肺がん検診などでも実施される単純撮影のことを指します。エックス線は人体を通り抜けますが、骨のように通り抜けにくいところがあるため、通り抜けたX線を画面に写すと濃淡ができ、体内の様子を知ることができます。
胸部X線検査は、X線検査の中で最も簡単な検査方法ですが、肺や心臓、肺の間にある縦隔などの器官の病気について、様々な情報を得ることができますので、幅広く行なわれています。
胸部X線検査で何がわかるのか?
肺の病気の診断に有用です。肺がん、肺結核、肺炎などでは、異常が白い影として映ります。気胸、肺気腫などは病気のあるところの空気が多くなるので、黒く映ります。気管支拡張症や胸水などもこ指摘されます。
一方、肺といっしょに心臓や大血管も映るので、心臓弁膜症、拡張型心筋症や心筋梗塞など、心臓が拡大する病気が見つかるきっかけにもなります。また、心不全が悪化すると、肺水腫になったり、胸水が貯留したりすることもわかります。
胸部X線検査はどのような検査か?
立位での正面像と側面像、ときには側臥位(検査台に寝て横向き)の像を撮影します。撮影のときは息をしっかり止めないと写真がぶれるので注意が必要です。正面撮影では、胸側にフィルムを置き、背中側からX線を照射します。大きく息を吸い、しっかり止めたところで撮影します。
次に横を向き、同じように撮ります。側面像では、肺が心臓や横隔膜、助骨などと重なって、正面像では判定困難な変化を見つけることができます。なお、側臥位撮影は胸水が疑われるときに行ない、胸水のたまり具合がよく判定できます。
検査結果の判定
健康の人の肺はX線写真に黒く写り、中心部の心臓などは白っぽく写ります。肺に腫瘍や炎症がなどの病変があると、白い陰影が写ります。不整な円形に近い白い影は肺がんなど、境界がぼやけて不明瞭な白い影は肺炎、肺結核などが疑われます。また、胸膜に空気が溜まる気胸では肺の縮んだ様子が写ります。
異常があったらどうするか?
肺がんが疑われるときには、胸部CT検査、喀痰検査、気管支内視鏡検査、腫瘍マーカーなどの精密検査を受けます。その他の肺の病気でも、CTや肺機能検査などの専門的な検査を受けます。
異常な場合に疑われること
- 肺…肺がん、肺結核、肺炎、気管支炎、肺気腫、気胸、胸膜炎、胸水など
- 心臓…心肥大、心拡大、胸部大動脈瘤など