病院の検査の基礎知識

喫煙習慣のある方は喀痰(かくたん)検査を受けましょう

喀痰検査とは、痰を採取して、その中にどのような病的な成分が含まれているかを顕微鏡で観察する検査で、呼吸器の病気を診断するためには不可欠なものとなっています。

危険な咳を判断する手がかり

市区町村の肺がん検診では、全ての受診者に胸部レントゲン撮影が行われますが、50歳以上で喫煙指数(1日の喫煙本数×年数)が600以上ある人、あるいは40歳以上で半年以内に血痰が出た人にはこの喀痰検査もあわせて実施します。

痰は呼吸器系の粘膜からしみ出る分泌物で、その成分には、肺や気管支、咽喉頭など気道からはがれた細胞も含まれています。これらの細胞に異常があったり、異物(細菌、ウイルス、ほこりなど)や血液成分が混じっていたりすると、痰に変化があらわれます。痰を調べれば、肺や気管支など呼吸器のさまざまな情報を得ることができるのです。

喀痰検査で何がわかるのか?
痰を調べることは、呼吸器系の病気の診断では大変重要です。痰の検査の中では、感染症の有無や病原体を特定する細菌検査と、がん細胞の有無を見るための細胞診の2つが重要です。

顕微鏡で痰の変化を調べる

喀痰細菌検査
痰に混じっている細菌や真菌(カビ)など、肺炎や気管支炎の原因になっている菌を突き止めます。この検査には、採取した痰をガラスに塗りつけて顕微鏡で菌を見つける塗抹検査と、痰の中の菌を培養で増やし、菌の種類を確認する培養検査の2つの方法があります。菌の培養には2〜3日、結核菌は2ヶ月ほどかかります。

喀痰細胞診
単に混じった細胞を顕微鏡で調べ、がん細胞がないかどうかを調べる検査です。ブラッシングといって、気管支内視鏡を入れて粘膜を擦り取り、それを顕微鏡で調べることもあります。がんの確定診断には、がん細胞を証明することが必要です。肺がんは、痰の中にがん細胞が排出されることも多く、そのため肺がんの診断の一つとして喀痰細胞診が行なわれています。

喀痰検査はどのような検査か?
痰を出して調べます。肺がんの検診では、毎朝起きたときに3日続けて痰をとり、それを医療機関に持参するか検査施設に郵送します。喀痰検査は自己採取のため不良検体となることもあるので、採痰のしかたについて正しい指導を受けることが大切です。

検査を受けるときの注意点
採痰するときは、必ずうがいをして口の中をきれいにします。これは食物の残りかすなどが痰の中に混ざり、がん細胞との鑑別が難しくなることがあるからです。

検査結果の判定
喀痰細菌検査で原因菌を明らかにし、培養検査の際に色々な薬剤を加え、その薬が効くかどうかの感受性試験を行ない、治療薬を決定します。喀痰細胞診で調べた細胞は、正常細胞を1、がん細胞を5とし、疑わしさの程度によって5段階に分類します。

異常な場合に疑われること
肺がん、肺結核、細菌性肺炎、非細菌性肺炎(マイコプラズマなど)、肺真菌症、気管支炎など


 
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