頸動脈エコー:全身の動脈硬化の状態を簡単に把握できます
血管の内壁にプラーク(コレステロールや脂肪の塊)が蓄積して血管が狭くなったり、弾力性が失われた状態を「動脈硬化」といいます。動脈硬化によって血管が狭くなると脳や心臓への血流が阻害されるため、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高める要因となります。
頸動脈エコーとは、脳に酸素や栄養を供給している頸動脈にプローブという機器(上の写真参照)で超音波をあて、血管の動脈硬化の有無や進行の程度を診断する検査です。
頸動脈エコーでは、血管の断層(=輪切り)画像を得ることができます。そのため、血管壁内の状態(プラークや血栓が形成されていないか、狭窄の程度など)、血管表面の状態、血流の速度などを観察することが可能です。このように動脈硬化を視覚的に診断できるのが、頸動脈エコーの最大の特徴です。
頸動脈は全身の血管のなかでも特に動脈硬化が起こりやすい場所となっています。そのため心臓をはじめ全身の動脈硬化を調べる目的にも頸動脈エコーは活用されています。
エコー検査は、レントゲン撮影と異なりエックス線を使用しませんし、大型の装置も必要ないため、何回でも手軽に検査できるのも利点です。検査時間は15分程度です。
頸動脈エコーでは、動脈硬化の進行度の指標であるIMT(内膜中膜複合体肥厚度:Intima Media Thicknessの略)を測定することもできます。IMTとは血管壁を構成している「内膜」と「中膜」を合計した厚さのことで、頸動脈では1.1mm以上の数値が計測されると動脈硬化と診断されます。