HbA1c(グリコヘモグロビン)で、過去1〜2ヶ月の血糖状態を把握
HbA1cは赤血球の中で体内に酸素を運ぶ役目のヘモグロビンと、血液中のブドウ糖が結合したものです。糖化ヘモグロビンともいい、血糖値が高いほどグリコヘモグロビンが形成されてやすくなりますので、糖尿病の患者さんでは血液中に顕著な増加がみられます。
HbA1cを調べると何がわかるのか?
血糖値は常に変化していますが、HbA1cは濃度が安定しています。ヘモグロビンの寿命は約4ヶ月であるため、HbA1cの値を調べれば、過去1〜2ヶ月の血糖の平均的な状態を知ることができます。通常は、グリコアルブミン、もしくはフルクトサミンや1.5AGなどとあわせて、既に糖尿病を治療している人の血糖コントロールの様子を知るために実施されています。
血糖値や尿糖値が検査前の食事や飲酒、それに検査に時間によって変動するのに対し、HbA1cはそれらにほとんど影響を受けないという特徴もあります。
HbA1cはどのように検査するのか?
採血をして測定します。測定法には、HPLC法(高速液体クロマトグラフィ法)、免疫学的法があります。検査当日の食事制限などはありません。
基準値
一般的に最も用いられているHPLC法では4.3〜5.8%が基準値となっています。検査直前に大食しても絶食しても、正常ならこの範囲を超えることはありません。
検査結果の判定
HbA1cが高値の場合に考えられる病気は、以下の通りです。
糖尿病
血糖値が糖尿病型の場合、HbA1cが6.5%以上か、糖尿病の典型的症状(多飲、多尿、口渇、体重減少)か糖尿病性網膜症があれば、糖尿病と診断されます。しかし、境界型や軽症糖尿病ではHbA1cが基準値内におさまる場合がありますので、この場合は確定診断のためにブドウ糖負荷試験が必要となります。
腎不全
腎不全の場合にも、血液中の尿素窒素が上昇するにつれHbA1cの値が高くなります。したがって、血液中の尿素窒素値が高値になると、ヘモグロビンを血糖コントロールの目安にすることは不適当となります。
異常ヘモグロビン血症
糖尿病でも腎不全でもないのにHbA1cが高値の人は、異常ヘモグロビン血症の可能性があります。また、低値の場合にも病気の疑いがあります。低血糖になるインスリノーマ(膵島線種)や、赤血球の縦妙が短くなる溶血性貧血、悪性貧血、異常ヘモグロビンなどが考えられます。
異常があったらどうするか?
異常値が出たら1ヶ月以上の間隔をあけて、再検査を行ないます。糖尿病を治療中の人で高値の場合は、血糖コントロールが上手くいっていないということですから、食事療法を守るのはもちろん、適度な運動を行なう、飲酒量を控えるなど、生活スタイルから見直す必要があります。それでも改善がみられない場合は、治療方針を見直す必要があるかもしれません。
異常な場合に疑われること
- 高値…糖尿病、腎不全、異常ヘモグロビン血症など
- 低値…溶血性貧血、インスリノーマ(膵島線種)、肝硬変など