グリコアルブミンはHbA1cよりも近い過去の血糖コントロール状態を把握
血清中のタンパクの一種アルブミンとブドウ糖が結合したものをグリコアルブミンといいます。インスリン治療中などで血糖の変動が激しい場合に、HbA1c(グリコヘモグロビン)と同様に、過去の血糖値の変動を推定できる指標として利用されています。グリコアルブミンは、近い将来、糖尿病の検査の中心になると考えられています。
グリコアルブミンを調べると何がわかるのか?
アルブミンの半減期は20日前後で、グリコヘモグロビンの120日という寿命より短期間です。したがって、グリコヘモグロビンよりも近い過去の血糖コントロール状態を知ることができます。
糖尿病の進行を防ぎ、合併症を予防するためには、血糖コントロール状態を正確に把握する必要があります。現在の状態だけではなく、グリコアルブミン(1〜2週間前)、グリコヘモグロビン(1〜2ヶ月前)の血糖状態を知ることが治療に役立ちます。
なお、グリコアルブミンと同じくフルクトサミンも糖化タンパクで、血糖コントロールの指標として用いられていますが、グリコヘモグロビンを測定すれば十分とされています。
グリコアルブミンの値はどのように測定するのか?
血液を採取します。従来の測定方法は、専用の分析装置を必要とするHPLC法であったため、適応性に欠けているという問題がありましたが、近年はプロテアーゼを用いた酵素法が開発され、生化学自動分析装置での測定が可能になっています。
基準値(酵素法)
12.3〜16.5%
検査結果の判定
高値では糖尿病が最も多くを占めます。高血糖状態が長く続いているほど高値となります。また、甲状腺機能低下症でも高値となります。一方、ネフローゼ症候群や甲状腺機能亢進症などでは、タンパクの代謝が促進されるため低値となります。肝硬変などによる肝細胞の破壊、低栄養などが原因で、肝臓のタンパク合成機能が低下した場合にも低値となります。
異常があったらどうするか?
糖尿病の人で異常値が出た場合は、血糖コントロールが上手くいっていないということですので、基準値に近い値を保つための食事療法、運動療法をはじめとする治療に努力しましょう。糖尿病は「検査の病気」と言われています。
「最近忙しくて検査に行ってないが、まだ大丈夫だろう」などと自分勝手な判断をせず、定期的な検査を忘れずに受け、コントロール状態を確認し、病気を進行させないことが大事です。
異常な場合に疑われること
- 高値…糖尿病、甲状腺機能低下症など
- 低値…ネフローゼ症候群、甲状腺機能亢進症、肝硬変など