病院の検査の基礎知識

LAPは、他の肝機能検査と合わせて胆道・肝臓系の病気を診断します

LAP(ロイシンアミノペプチターゼ)とは、ロイシンなどのタンパク質を分解するはたらきを持つ酵素の一種です。肝臓や腎臓、膵臓、腸管、子宮、睾丸、脳などの細胞に含まれていますが、血中に増えるのは主に肝臓・胆道系の障害のときです。

胆道閉塞を起こす病気の診断に有用です

したがって、肝臓障害などで胆汁のうっ滞(胆道がつまって胆汁がうまく流れなくなること)が起こると、胆汁が逆流してLAPが血液中に流れ込み、血中のLAP値が著しく上昇します。

そこで、とくに肝臓・胆道系の病気を診断する指標として利用されています。ただし、この検査だけでは診断しきれないので、普通はほかの肝機能検査と組み合わせて行われます。

LAPはどのようにして調べるのか?
血液を採取し、遠心分離器で分けた血清を測定器で調べます。免疫抑制剤を服用していると活性が低下しますので、この薬を使用中の人はあらかじめ医師に申し出てください。

基準値
30〜80IU/l(LPNA法)となっていますが、検査方法にはさまざま種類があり、測定単位も異なります。したがって、複数の医療機関で検査を受け、その結果を比べる場合は数字だけではなく単位にも気をつけてください。

LAPの検査値は、1歳未満の子供では高値を示しますが、それ以降は成人に向かうに従い安定し、性別や食事、運動による影響はほとんどありません。ただし、飲酒などアルコールの摂取が多いとγ-GTPと平行して上昇する場合もあります。

検査結果の判定
LAP値が高度に上昇した場合には、肝臓がんや胆道系のがん、胆石、すい臓がんなどによる胆道閉塞が疑われます。肝臓がんでは胆道の閉塞がなくても高度に上昇し、ウイルス性肝炎や薬剤性肝炎でも胆汁がうっ滞すると高値になります。また、子宮がんや卵巣がんなどでも高値を示します。

肝がん

軽度の上昇がみられる場合には、慢性・急性肝炎、脂肪肝、肝硬変などが考えられます。また、妊娠でも上昇しますが、分娩後は正常値に落ち着きます。妊娠中毒症や切迫流産では正常妊娠よりCAP(シスチンアミノペプチターゼ)が低値を示すため、胎盤機能が正常かどうかをみる目安にもなります。

異常があったらどうするか?
LAPの検査だけでは、治療方針が立てられないので、ビリルビンALPA/G比ICG負荷試験膠質反応などの肝機能検査の結果と組み合わせて総合的に判断されます。

LAP値がやや高い程度で、他の検査で正常な場合は、積極的に治療は行なわれませんが、再検査をして経過がみられます。その場合、LDH(乳酸脱水素酵素)のアイソザイム検査でDLH5が増えるか、GOTやGPTがやや上昇しているときでも、他の肝機能検査で異常がなければ、特に治療の必要はありません。ただし、経過の観察と定期的なLAPの測定は必要となります。

胆汁がうっ滞して、LAP以外の胆道系酵素が増加する場合は、超音波検査やCT検査、胆道造影検査などの画像検査を行ない、胆管の拡張や炎症、がんなどの有無を調べます。

肝臓外で胆汁がうっ滞して黄疸が強くあらわれている場合は、肝臓から胆管に管を挿入して胆汁を取り除く、経皮経肝胆道ドレナージを行なうことがあります。

異常な場合に疑われること
肝臓がん、胆道がん、すい臓がん、結石などの胆道閉塞、慢性・急性肝炎、薬剤性肝障害、ウイルス性肝炎、肝硬変など


 
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