病院の検査の基礎知識

肝臓の解毒機能を調べるICG試験

肝臓には体内に入った異物をとらえ、中和する働きがあります。肝臓の働きが弱まっていると異物は中和されることなく血液中に残留することになります。そこで、異物に相当する色素を体内に注入し、一定の時間ごとに採血して残留度を測ることで、肝臓の機能を診断しようというのがICGの検査です。検査試薬に使用される色素インドシアニングリーンの頭文字をとってICG試験と呼ばれています。

ICGを静脈注射後、採血します

この検査は鋭敏な方法で、肝臓疾患の診断や予後判定によく用いられます。また、ICGは、血液中に入るとほとんどが肝臓の細胞に吸収され、胆汁中に排出されます。したがって、従来のBSP(ICGと同じ原理の検査で、BSP=ブロモスルホフタレインという色素を注射して調べる)に比べると、肝臓以外の臓器に吸収されることが少ないため、肝機能を調べる検査としてはより有用といえます。

ICG試験はどのような検査か?
体重1kgあたり0.5mgほどのICGをひじの静脈から注射します。そして15分後に、反対側のひじの静脈から採血をして、その血液残留量を調べます。

基準値と許容範囲
15分後の値が10%以下なら正常と診断されます。

検査結果の判定
15分後のICG残留量が15%異常の値を示したときには、引き続き30分後と45分後に採血し、異常の程度を調べます。45分後に30%以上の場合は明らかに肝機能障害をおこしています。
15分後の段階でICG残留量が30%以上のときには、肝硬変だと思ってまず間違いはありません。
そのほか、肝炎、肝臓がん、体質性黄疸なども疑われます。また、症状にはあまり出ていなくても、異常値が出たら、隠れた肝障害があると考えてよいでしょう。

異常があったらどうするか?
肝機能障害が疑われたら、GOTALPプロトロンビン時間γ-GTP肝生検などの検査を受けます。肝障害の種類、原因の診断がついたら、医師の指示に従って治療を受けましょう。

異常な場合に疑われること
肝炎、肝硬変、肝臓がん、胆汁流出障害、体質性黄疸など


 
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