病院の検査の基礎知識

慢性出血が疑われるときに血小板数の検査が行われます

血小板は血液の成分の一つで、血管の損傷に反応し、出血を止める働きをしています。怪我をしたあとで自然に血が止まるのは、この血小板が正しく機能している証拠です。血管が破れると、血液中の血小板がその穴の部分に次々と集まってきて穴をふさぎ、やがて固まっていくのです。

血小板

また、血液の凝固には血小板のほか、凝固因子と呼ばれるタンパク質も関わっています。凝固因子はおよそ10種類ほど存在し、主に酵素や補酵素としての働きをもっています。しかし、通常は酵素としての働きはありません(不活性型)が、血管損傷などの引き金が出現する酵素として働きます(活性型)。これら活性型凝固因子の複雑な連鎖反応の結果フィブリンという凝固塊(血餅)が出来て止血します。

なお、凝固因子がかかわる検査には、出血時間プロトロンビン時間活性化部分トロンボプラスチン時間トロンボテスト、ヘパプラスチンテストフィブリノゲンFDP、Dダイマーなどがあります。

血小板数を調べると何がわかるのか?
血小板の数が減少したり、その機能が低下すると、出血が止まりにくくなります。ですから、ちょっとしたことで青あざができたり、出血がなかなか止まらなかったり、鼻血が出やすい、貧血があって慢性出血が疑われるときに必ず行なわれる検査です。

逆に、血小板の数が多くなりすぎると、血液が固まりやすくなり、血液が固まってできた血栓が血管をふさいで、脳梗塞や心筋梗塞などの危険性が高くなります。

血小板数はどのように検査するのか?
血液を採取して、自動血球計数器によって測定されます。

基準値
13.0万〜34.9万/μlが基準値となります。

検査結果の判定
血液1μl中の血小板数が10万個以下で血小板減少症、40万個以上で血小板増多症とされます。10万個以下になると血が止まりにくくなり、さらに5万個を切ると自然に鼻血が出たり皮下出血が始まって紫色の斑点が出たりします。3万個以下では腸内出血や血尿、2万個以下になると生命も危険になります。

血小板の減少による病気は、血小板減少症または血小板減少性紫斑病といいます。原因不明の突発性血小板減少性紫斑病と、白血病や再生不良貧血などの進行とともに血小板が減少する二次性血小板減少症があります。

血小板の破壊による減少では、肝硬変、バンチ症候群、全身性エリマトーデスなどが考えられます。逆に慢性白血病や多血症によって血小板数が異常に増えた場合でも、止血作用が低下するので危険です。

異常があったらどうするか?
血小板数が10万個以下、あるいは40万個以上の場合は精密検査や治療が必要となります。また、血小板は、その数だけではなく凝集能力にも注意が必要です。血小板のくっつく能力が亢進する(高まる)と血栓がつくられ、これが脳血管や心臓の冠状動脈につまって脳梗塞や急性心筋梗塞などを引き起こすことになります。

血小板が極端に増加している場合には、血栓症予防のためにアスピリンやワーファリンなどの薬剤を投与します。血小板の異常な増減には重い病気が隠されていることが多いので、血液内科のある専門病院で精密検査を受けることが大切です。

異常な場合に疑われること

  • 低値…血小板減少性紫斑症、急性白血病、再生不良性貧血、悪性貧血、肝硬変、バンチ症候群、全身エリテマトーデスなど
  • 高値…骨髄増殖性疾患(本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病)、血栓症など

 
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