病院の検査の基礎知識

ビタミンK拮抗薬(ワーファリン)を投与する際に重要な役割を果たします

トロンボテスト(TT)とは、血液凝固因子のうち、肝臓でつくられるときにビタミンKを必要とする、第U、Z、]因子の働きを調べる検査です。ヘパプラチンテスト(HPT)は、同じく第U、Z、]因子の働きを調べる検査ですが、こちらのほうが精度の高い結果を得られています。

ワーファリン

トロンボテスト、ヘパプラスチンテストで何がわかるのか?
心筋梗塞や心臓手術のあと、血液の凝固を抑えるためにビタミンK拮抗薬(ワーファリン)が投与されます。この薬はビタミンKの作用を抑えて、第U、Z、]因子の働きを低下させ、血液を凝固しにくくしますが、薬が効きすぎて血液の凝固作用が低くなりすぎると、出血が止まらない危険が生じます。そこで、ワーファリンを投与するときには、トロンボテストを行なって凝固する力がどの程度かを調べながら、治療を進めます。

ワーファリンを投与すると、血管内でPIVKA-U(ピブカ・ツー)という凝固因子を生じます。トロンボテストは内因性のPIVKA-Uの影響を受けますが、ヘパプラスチンテストではその影響を受けないので、純粋に外因性の第U、Z、]因子の働きを調べることができます。
ヘパプラチンテストは肝臓での血液凝固因子を合成する機能だけを鋭敏に反映するので、肝機能を調べる検査として優れています。

トロンボテスト、ヘパプラスチンテストはどのような検査か?
血液を採取して試薬を加えるだけで簡単に調べられます。

検査結果の判定
数値が高い場合には血液の凝固能力が高いことを示し、妊娠や高脂血症などで高値になります。一方、数値が低い場合には、ビタミンKの不足などで、血液凝固能力が低下しています。

異常があったらどうするか?
トロンボテストの数値が低い場合には、ビタミンK欠乏症や、肝硬変、先天的な凝固因子の欠乏が考えられます。それらが疑われるときは精密検査が必要です。また、肝臓障害としては、肝炎、肝硬変、肝臓がんなどがあるため、どのような状態なのか検査をします。肝硬変は、食道静脈瘤を併発しやすくなります。これが破れると、凝固機能低下と相まって食道から大量の出血が起こります。したがって、食道の精密検査も必要になります。

異常な場合に疑われること

  • 高値…高脂血症、ネフローゼ症候群など
  • 低値…新生児出血性疾患、乳児ビタミンK欠乏出血症、肝硬変、播種性欠陥凝固症候群(DIC)、先天性第U、Z、]因子欠乏症など

 
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