性腺(睾丸)機能の異常、あるいは下垂体や腎臓の病気を調べます
テストステロンとは、男性の睾丸から出る最も重要なホルモンです。一部は腎臓でもつくられます。胎児期には男子性器の形成と発達に、思春期には第二次性徴(髭、低い声、筋肉の増加、性腺の発達などの男性的な発育)に重要なはたらきをします。脳の下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンの、黄体形成ホルモン(LH)、卵黄刺激ホルモン(FSH)によりコントロールしています。
テストステロンの検査で何がわかるのか?
男性では、先天的ないしは後天的な性腺(睾丸)機能の異常、あるいは下垂体や腎臓の病気がわかり、女性では副腎の病気がわかります。
一般的に男性では二次性徴の遅延、退行、早期発現が認められる場合や、性機能不全がある場合、女性では男性化兆候がある場合などに検査を行ないます。性腺機能は視床下部の下垂体によりコントロールされるため、FSHとLHも同時に測定します。
テストステロンはどのように検査するのか?
血液を採取して調べます。テストステロンは昼間の分泌量が早朝の数分の1と、かなり低値になりますので、採血は朝に行ないます。尿に排泄されるテストステロンの代謝物質(17KS=17ケトステロイド分画)を調べることもあります。
テストステロンの基準値は?
血中値
- 男性…250〜1100ng/dl
- 女性…10〜60ng/dl
尿中値
- 男性…13〜160μg/日
- 女性…2〜47μg/日
検査結果の判定
高値の場合は、女性では多毛症(うぶげが肥大したり固くなった状態)、男性化兆候などが見られます。低値の場合、特に男子の思春期では第二次性徴が現れず、性器が十分に成長できない場合があります。睾丸の機能低下や下垂体の異常が疑われます。
異常があったらどうするか?
Gn-RH(LH-RH)負荷試験、精液検査、睾丸の計測、睾丸組織の生検、プロラクチン測定などの精密検査を行なって、原因を確かめます。
異常な場合に疑われること
- 高値…睾丸腫瘍、副腎腫瘍、副腎機能障害、卵巣腫瘍、突発性多毛症、思春期早発症、絨毛上皮腫、胚芽腫、甲状腺機能亢進症など
- 低値…下垂体機能低下症、肝硬変、アジソン病、性染色体異常、思春期遅延症、睾丸炎や外傷による睾丸機能不全など