褐色細胞腫や神経芽細胞腫の診断や治療効果の測定に有用
腎臓の上の左右一対ある副腎と呼ばれる臓器から分泌されるホルモンのことです。アドレナリン(エピネフリン)、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、ドーパミンの3種類があり、3つを総称してカテコールアミンと呼びます。

緊張、不安、興奮などの精神的ストレス、あるいは運動、苦痛、暑い(寒い)などの肉体的ストレスが加わると、脳の交感神経が緊張します。交感神経の刺激を受けて副腎髄質から分泌されたドーパミンが、アドレナリン、ノルアドレナリンと作り変えられ、血管の収縮、弛緩、血圧の維持、心臓の収縮などにはたらき、これらのストレスに対処しています。
副腎髄質ホルモンを調べると何がわかるのか?
褐色細胞腫や神経芽細胞腫などの腫瘍ができるとカテコールアミンの分泌が増えるため、それらの腫瘍の診断や治療効果の測定のために検査を行ないます。また、狭心症や心筋梗塞、心不全の診断、それにストレスや交感神経に関係している病気を調べるときにもカテコールアミンを調べます。
副腎髄質ホルモンはどのように検査するのか?
尿で調べる
尿を塩酸を入れた容器にとって低温保存し、1日分をまとめて、その中のカテコールアミンを測定します。アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンについても同様です。
血液で調べる
大人と子供の場合…肘の内側か手の甲の静脈から採血(静脈穿刺)を行います。乳児と低学年の子供の場合…採血する場所をエタノールで清浄し、尖った針かランセットで穿刺します。血液はピペット(小さなガラスの管)、スライド、検査用ストリップ、小容器などに採取します。
検査結果の判定
カテコールアミンは主に高値の場合が問題となります。まず考えられるのが、褐色細胞腫、乳幼児では神経芽細胞腫です。褐色細胞腫の場合には、副腎にできたものはアドレナリンが高く、それ以外に発生したものはノルアドレナリンが高くなります。
異常があったらどうするか?
褐色細胞腫は20〜40歳代の成人に見られる腫瘍で、そのほとんどは良性です。しかし、頻度は低いのですが、高血圧の原因として見逃すことのできない疾患です。ほかの検査結果とあわせて診断を行ない、診断に従って治療に当たります。
乳幼児が異常値を示した場合に最初に疑われる神経芽細胞腫は、小児がんの一種です。主に腹部や胸部に発生し、どの年齢でも発症しますが、1歳位までに発見された神経芽細胞腫は外科手術などで治る場合がほとんどです。精密検査として血液検査、X線検査、超音波検査などを行って確定診断を下します。
異常な場合に疑われること
- 高値…褐色細胞腫、神経芽細胞腫、副腎髄質過形成、心不全、心筋梗塞、パーキンソン病、本態性高血圧、甲状腺機能低下症、総合失調症、うつ病、糖尿病など
- 低値…起立性低血圧、家族性自律神経失調症、汎下垂体機能不全賞、フェニルケトン尿症、甲状腺機能亢進症など