視床下部や下垂体、副腎皮質機能の異常が疑われる場合に行われます
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)とは、脳の下垂体から分泌され、副腎皮質ホルモンの分泌を刺激するホルモンで、アミノ酸で構成されるポリペプタイドです。コルチゾールなどの糖質コルチコイドを含むすべての副腎皮質ホルモンの分泌を促進しています。

ACTHの測定は、視床下部や下垂体、副腎皮質機能の異常が疑われる場合のスクリーニング(ふるいわけ)として行われます。
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)はどのように測定するのか?
数値は時間帯によって変動するため、早朝空腹時に安静にした状態で血液を採取します。起床直後から午前中にかけて分泌量が増加し、午後になると減少するに血内変動が見られます。また、ストレスを受けると数値は上昇します。ACTHの測定は通常、コルチゾールの測定と併せて行われます。
基準値
早朝安静時…7.4〜55.7pg/ml
検査結果の判定
ACTHが高値で、併せて測定したコルチゾールも高値を示す場合は、下垂体性のクッシング症候群が、逆にコルチゾールが低値を示す場合は、アジソン病(全身倦怠感、吐き気、下痢、低血糖などの症状が現れる)が疑われます。
また、慢性的に副腎が障害されていると、副腎皮質ホルモンの分泌が減少して、それを回復させるためにACTHが高値となることがあります。
一方、ACTHが低値を示し、コルチゾールが高値の場合は、副腎腫瘍によるクッシング症候群が疑われます。また、下垂体の機能低下や、副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)の大量服用などでも低値となります。
異常な場合に疑われること
- 高値…クッシング症候群、アジソン病、ストレス、うつ病、神経性食欲不振症、異所性ACTH産生腫瘍、グルココルチコイド不応症など
- 低値…下垂体機能低下症、副腎性クッシング症候群、ACTH単独欠損症、外因性ステロイド投与など