病院の検査の基礎知識

軽い意識障害やてんかんが疑われるときに行われる脳波検査

脳はその活動にともなって常に微弱な電波を出し続けており、それは頭の表皮上におけるわずかな電位差(電流は電位の高いほうから低いほうへ流れる)となってあらわれます。その電気的な変動を頭部に付けた電極でとらえ、増幅し、波形として記録するのが脳波検査です。

頭部に電極を取り付けます

脳波検査で何がわかるのか?
けいれんを起こしたとき、意識障害がみられるとき、症状には出ない軽い意識障害をみつけようとするとき、てんかんが疑われるときなどに行われ、脳腫瘍などの診断にも有用です。脳死判定の際にも用いられています。

頭部CT検査頭部MRI検査などの結果とあわせて診断され、脳腫瘍やけがによる脳障害(脳挫傷)であれば、CTに映りますが、真性てんかんであればCTに異常はみられません。脳出血や脳梗塞ではCT検査などで十分に診断が付くので、脳波検査が行なわれることはほとんどありません。

脳波検査はどのような検査か?
シールドルームという電気的に隔離された部屋で行なわれます。最近は手軽に運べる携帯型の脳波計も開発されていて、普通の病室や手術室などどこでも測定することができます。

ベッドに仰向けに寝て、頭に十数個の電極をペースト(糊)で取り付けます。安静にしていて、目を開いたとき、目を閉じたとき、深呼吸をしたときなどの脳波を調べます。てんかんなどでは光や音の刺激を与えたり、薬物を投与して測定します。また、睡眠中の脳波を測定することもあります。

検査時間は準備を含めて約30分ですが、他の検査も行なうと2時間くらいかかることもあります。検査だけなら通院で受けられます。

検査結果の判定
脳波はその波長によって、δ波(デルタ波)、θ波(シータ波)、α波(アルファ波)、β波(ベータ波)の4つに分類されます。成人の場合、安静にして目を開いているとベータ波が、目を閉じているとアルファ波があらわれ、熟睡しているとデルタ波が出てきます。

もし、覚醒しているにもかかわらずデルタ波やシータ波があらわれる場合は、脳の機能が低下していると考えられ、てんかん、脳腫瘍、脳挫傷などが疑われます。

異常があったらどうするか?
脳神経科や脳外科の専門医が、頭部CTとそのほかの検査とあわせて、総合的に診断を下すことになります。

異常な場合に疑われること
てんかん、脳腫瘍、脳挫傷、脳出血、脳梗塞、肝性昏睡、薬物中毒による意識障害など


 
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