頭部の断面を画像化し、病変の手掛かりや病巣の進展範囲を判定します
頭蓋内の水素原子核からの信号をとらえて、頭蓋内の断面を画像化して、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの頭部の病変の手がかりを調べる検査で、頭部MRAと並んで脳ドックで必ず行われる検査です。
CT検査は骨に囲まれた部位の画像の質が低下しますが、MRIでは骨の影響を受けないので、鮮明な画像を得られます。解析度も優れていて、CTでは写せない小さな脳梗塞や、脳幹部の病変なども、はっきりとらえることができます。
また、縦、横、斜めなどの断層像も容易に得られ、病変部の位置の診断や病巣の進展範囲の判定に大いに役立っています。さらに、X線による被爆がないので、安心して繰り返し検査することができる利点があります。
頭部MRI検査で何がわかるのか?
片麻痺や言語障害、意識障害などは、脳出血や脳梗塞のときに認められる最も大きな症状です。これらの症状が出現したとき、まず頭部CT検査を行なうことが多いのですが、脳梗塞の場合、CTで脳の変化が明らかに認められるには発病後2〜3日を要します。
これに対して頭部MRIでは、発病数時間後には変化がわかり、脳梗塞の早期診断には極めて有用な検査です。
MRIは撮影方法によって「T1強調画像」「T2強調画像」「フレア(FLAIR)」「拡散強調画像(DWI)」などの画像モードがあり、それぞれに特徴があります。
T1強調画像は解剖学的に脳の損傷の部位を把握するのに適しており、 T2強調画像は水が白っぽく映るという特徴があるため、脳梗塞や脳浮腫(むくみ)で水が溜まった部位が強調されます。
フレア(FLAIR)は脳の解剖学的構造が把握しやすく、T2が不得意だった脳表面の病変を映し出すことができます。 拡散強調画像(DWI)では発生して間もない超急性期の病巣を早い段階で映し出すことができます。
頭部MRI検査はどのような検査か?
検査着に着替えて、MRI装置のベッドに仰向けに寝ます。このベッドは電磁波を発生させるガントリーと呼ばれる大きな円筒状の穴にスライドします。ガントリーは少し長いトンネル状で、そこに入ると、工事現場のような音が耳元で連続して聞こえますが、できるだけ動かないようにしてください。検査時間は20〜30分です。
従来のMRI装置は、トンネル状のガントリーの中に頭全体をスッポリと入れたまま検査を受けなければならないため、閉所恐怖症の人、狭くて暗い場所が苦手な子供は検査を受けることが難しいという問題がありました。それを解決したのが、上の写真の「オープンMRI」です。
MRI装置に開放部があるため、騒音や閉塞感によるストレスなく検査を受けることができるうえ、操作者も被検者のセッティング調整が楽に行うことができます。また、付き添いも可能となっているため、子供や高齢者も安心して検査を受けられる点もオープン型の大きな特徴です。
なおMRIは磁場の環境下で検査を行うという特性上、金属を身につけた状態で撮影を行うことはできません。したがって、心臓ペースメーカー、人工内耳、人工中耳をつけている方、古いタイプの人工心臓弁の手術を受けた方、脳動脈瘤のクリッピング術を受けてチタン製以外のクリップが入っている方、血管のステント留置術を8週間以内に受けた方はMRI検査を受けることはできません。
検査結果の判定
梗塞で脳の障害された範囲が、白い像になって映し出されます
異常な場合に疑われること
脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)、動脈瘤、動静脈の奇形、多発性硬化症など