ホルモンの分泌量は少なすぎても、多すぎても正常な成長が阻害されます
成長ホルモン(GH)とは、脳下垂体前葉から分泌されるホルモンで、糖やたん白質の代謝を調節したり、他のホルモンの分泌を促進・抑制して、バランスのとれた成長を促すはたらきをしています。

血中もしくは尿中の濃度を測定し、発育遅滞や低身長、思春期早発症、下垂体性巨人症、先端肥大症、下垂体性小人症などの診断に用いられています。
成長ホルモンは、視床下部から分泌されている成長ホルモン放出ホルモン(GRH・GHRH)という分泌促進因子と、ソマトスタチン(GIF)という分泌抑制因子によってコントロールされています。
さらに、グレリンという成長ホルモンの分泌を促進するペプチド(アミノ酸が結合した物質)が発見され、注目を集めています。こうした因子により成長ホルモンが調整されているのですが、分泌量が少なすぎても、多すぎても正常な成長を阻害してしまいます。
成長ホルモンはどのように検査するのか?
一般的には採血を行ない、血液中の量を測定しますが、起床直後に尿を調べたり、蓄尿を行なう場合もあります。成長ホルモンの分泌は、食事や睡眠、ストレス、運動などが大きく影響します。
さらに、起きて活動している間は少なく、夜間や睡眠中に分泌量が多くなる日内変動があるため、早朝の空腹時に30分~1時間の安静を保った後、検査を行なうのが原則となっています。
成長ホルモンの基準値
- 男性…血中値 0.64ng/ml以下 / 尿中値 10.7±10.5pg/ml
- 女性…血中値 0.11~3.90ng/ml / 尿中値 10.4±7.4pg/ml
異常な場合に疑われること
- 高値…下垂体性巨人症、先端肥大症、神経性無食欲症、栄養失調、慢性腎不全など
- 低値…下垂体性小人症、肥満症、甲状腺機能低下症など