不妊検査(精密検査)
不妊症の基本検査、体温の低温期に受ける検査、排卵期に受ける検査などを受け、さらに詳しく調べる必要があると判断された場合には以下に挙げる精密検査を受けます。
子宮鏡検査
子宮に異常があると疑われるとき、おもに低温期に行います。子宮の中に子宮鏡を入れ、モニターで子宮内部を観察します。子宮鏡には柔らかくて細いファイバースコープと、やや太い硬性鏡があります。硬性鏡を使ったときは、子宮内膜ポリープや子宮粘膜下筋腫の切除もできます。
抗精子抗体検査
ヒューナー検査の結果が悪い場合に行われます。採血した女性の血清の中に抗精子抗体がないか調べます。この抗体があると精子にくっついて、静止の動きを妨げてしまいます。不妊女性の数%に抗精子抗体があるといわれています。
ホルモン負荷検査
排卵障害の原因を詳しく調べる検査で、低温期に行います。基本検査として行っている病院もあります。特定のホルモンを注射し、採血してホルモン値の変化調べます。
子宮内膜の組織検査
高温期に、外来時に内診で子宮内膜の組織を採取し顕微鏡で調べます。着床ができる状態かどうかがわかります。
腹腔鏡検査
原因不明で不妊期間が長いときなどに行われます。へその下に2〜3箇所小さなあなを開け、腹腔鏡を入れて観察します。同時に鉗子(かんし)で子宮内膜症の癒着をはがすなど、治療もできます。
不妊治療は夫婦でよく話し合い、医師に相談したうえで行いましょう
不妊症の各種検査で原因が判明した場合には、それに合わせた不妊治療が行われます。治療には、「一般不妊治療」と「生殖補助医療技術(ART)」があります。
一般不妊治療は、超音波検査などで排卵の時期を予測して、セックスを行うタイミングを指導する「タイミング療法」、それでも妊娠できなかった場合に行われる「人工授精」の二つがあります。人工授精は配偶者の精子を用いる場合と第三者の精子を用いる場合があります。
原因にもよりますが、これらの治療を1〜2年継続して行っても妊娠に至らない場合は、生殖補助医療技術である体外受精や顕微授精などに進むのが一般的です。ただし、精子の状態が悪かったり、女性が40歳に近い場合には、一般不妊治療の時期を短縮して、高度な治療を開始することもあります。
いずれにしても不妊の検査や治療には、少なくない時間、費用、身体的・精神的な負担がかかります。夫婦でよく話し合い、不安や悩みは医師に相談し、納得してから治療を行うようにしましょう。