病院の検査の基礎知識

播種性血管内凝固症候群(DIC)や肺塞栓症など、血栓を起こす病気を発見

私たちの体のどこかで出血が起こると、まず血小板が集まって固まり、傷口を塞いで出血を止め、次にフィブリノゲンがフィブリンという物質に変わって、血小板の隙間などを埋め、傷口を塞いで止血をします。このフィブリンによって傷口が止血されることは体にとって有効なのですが、このまま傷口に存在し続けると血流を阻害することになり、体にとって有害になってしまいます。

フィブリン溶解現象を調べます

そこで、そうならないためにプラスミンという酵素が働きだし、血液凝固因子であるフィブリンを溶解していきます。この現象を線溶現象(フィブリン溶解現象)といい、そのとき分解された物質がFDP(フィブリン分解産物)です。そしてその分解される過程で、FDPは大きく分けて4種類の姿に変わっていきますが、その一つがDダイマーです。

FDP、Dダイマーはともに、この線溶現象(フィブリン溶解現象)を調べる検査です。体の中のどこかに血栓ができていれば線溶現象が亢進し、FDP、Dダイマーが高い値を示します。

FDP、Dダイマーで何がわかるのか?
播種性血管内凝固症候群(DIC)や肺塞栓症など、血栓を起こす病気を発見するとともに、その重症度を推定することができます。心筋梗塞や脳梗塞を起こすとアルテプラーゼ(t-PA)やウロキナーゼなどの血栓を溶かす薬を使用しますが、その効果を判定する際にも使用します。

FDP、Dダイマーはどのように検査するのか?
まず、血液を採取します。次にラテックスの粒子にFDPが反応する物質を結合させて、採取した血液を入れます。そして、FDPが集まってきてかたまりをつくる反応(ラテックス凝集反応)で測定します。

膀胱がんや妊娠中毒症などではFDPが尿に多く出るので、尿中のFDPを測定することもあります。Dダイマーは多くの場合、血液中のFDPと同時に測定します。

FDP、Dダイマーの基準値

  • FDP…15μg/ml (ラテックス凝集法)
  • Dダイマー…150ng/ml以下

検査結果の判定
FDPの検査値が高くなったら、白血病、感染症が重症になったり、がんが広く転移して全身に血栓ができる播種血管内凝固症候群(DIC)が発生していると考えられます。

血栓症の判定に有効

心筋梗塞や脳梗塞などの血栓ができる病気でも高くなります。また、劇症肝炎や肝硬変では、肝臓でのFDPの処理能力が低下するため高値になります。高尿酸血症の治療薬ウロキナーゼを大量投与したときも、FDPは高値になりますが、Dダイマーに変化は現れません。

これら二つの検査を合わせて検討することによって、性ホルモンの分泌異常の原因が、視床下部、下垂体、卵巣(あるいは睾丸)のどこにあるかがわかります。また、女性の性周期に従って測定すれば、排卵の有無などもわかります。

異常があったらどうするか?
FDP、Dダイマーのどちらか一方でも基準値を超えていたら、体のどこかで血栓の溶解が起こっていると考えられますので、フィブリノゲン血小板数の検査などを行なってその原因を探ります。

異常な場合に疑われること
播種性血管内凝固症候群(DIC)、重症感染症、がん、心筋梗塞、脳梗塞、肺塞栓症、胎盤早期剥離、妊娠中毒症、膠原病など


 
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