病院の検査の基礎知識

2つの女性ホルモンを調べることで、卵巣や卵黄、胎盤の働きがわかる

エストロゲン(卵胞ホルモン)もプロゲステロン(黄体ホルモン)も女性ホルモンの一種です。エストロゲンは、女性の第二次性徴の発現、生殖機能維持や卵胞の成熟、排卵促進、子宮内膜の増殖などの性周期の前半を維持する役割を果たしています。

女性ホルモン

一方、プロゲステロンは、卵胞発育の抑制などの性周期後半の維持、子宮内膜の肥厚、妊娠持続作用などの役割を果たしています。

この二つのホルモンで何がわかるのか?
血液中のエストロゲン、プロゲステロンの量を調べることによって、卵巣や卵黄、そして胎盤の働きがわかります。副腎や下垂体の異常で変化がみられることがあります。

基準値と範囲
エストロゲン

  • 卵胞期…3〜20μg/日
  • 排卵期…10〜60μg/日
  • 黄体期…8〜50μg/日
  • 閉経期…10μg/日以下

プロゲステロン

  • 卵胞期…0.1〜1.5ng/ml
  • 排卵期…2.5〜28.0ng/ml
  • 黄体期…5,7〜28.0ng/ml
  • 閉経期…0.2ng/ml以下

検査結果の判定
エストロゲンは胎盤から大量に分泌されるので妊娠中は非常に高くなります。また、卵巣機能に異常があると過剰に分泌されることがあります。肝硬変の場合には、エストロゲンが肝臓で分解されないため高値となります。卵巣の機能が低下していたり、発育が不十分な時には低値となります。

閉経後は、ほかの女性ホルモンとの関係で分泌量が急激に低下します。エストロゲンは骨代謝と深い関係があるため、閉経後の女性は骨密度が低下して骨粗鬆症になりやすい状態にあります。

一方、プロゲステロンは卵巣機能や副腎の機能に障害があると、過剰に分泌されて高値になります。生理がなかったり、排卵に異常があると低値となります。また、卵巣機能が低下した時や、脳の下垂体に異常があった場合には分泌量が低下してしまいます。

性腺の機能異常のスクリーニング検査として、黄体形成ホルモン(LH)、卵黄刺激ホルモン(FSH)、エストロゲン、プロゲステロン(男性ではテストステロン)を同時に測定します。
LH、FSHが高い場合、疾患は卵巣(男性では精巣)にあり、逆に低い場合には、疾患は中枢(視床下部、下垂体)にあります。

異常な場合に疑われること
エストロゲン

  • 高値…エストロゲン産生腫瘍、先天性副腎酵素欠損症など
  • 低値…卵巣機能不全、黄体機能不全など

プロゲステロン

  • 高値…先天性副腎過形成、クッシング症候群、副腎がんなど
  • 低値…卵巣機能不全、黄体機能不全など

 
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