病院の検査の基礎知識

CRPの測定は、炎症の早期診断、病気の重症度、治療成績の判定に有用です

CRPとは、C-リアクティブ・プロテインの略で、炎症や組織細胞の破壊が起こると血清中に増加するたタンパク質のことです。肺炎血球(ストレプトコッカスニューモニエ)が持っているC多糖体に反応するため、C反応性タンパクと名づけられました。

CRP測定試薬

当初は肺炎に特有のタンパクと考えれられていましたが、炎症や組織破壊のある病気なら必ずCRP値が陽性を示すため、この検査で病気を特定することはできません。しかし、病気の進行度や重症度、経過、予後などを知るうえでは大切な指標となっています。

CRPの検査は、血沈白血球数など、ほかの炎症検査と一緒に行なわれます。特に血沈値の増加より早く陽性になり、回復期には早く陰性を示すため、CRPの検査と血沈検査の併用は、病気の経過観察に重要な役割を果たしています。

CRPを調べると何がわかるのか?
炎症が起こったときに、24時間以内に急増し、2〜3日後には減少するので、炎症の早期診断に役立ちます。また、ほかの検査と組み合わせることによって、急激な組織の破壊や病気の重症度、経過、治療成績などを判定することができます。

また、狭心症ではCRPは陰性ですが、急性心筋梗塞では陽性・高値となりますので、これらを鑑別する指標としても用いられています。さらに、クラミジアなどによる慢性炎症が急性心筋梗塞の原因となることが近年の研究で判明し、このような場合にも低濃度のCRPの上昇が認められます。

CRPはどのように検査するのか?
採血をして、血液中の成分を分析します。毛細管法と生化学的な定量法がありますが、毛細管法では血清を毛細管に入れ、そこにCRP抗血清を混入、37℃の温度で2時間、4℃の温度で一晩冷やします。血清中にCRPがあればCRP抗血清と反応して白い沈殿物がありますが、その沈殿物の有無と高さによって陰性か陽性かを判定します。

検査結果の判定
陰性(正常値)は沈殿物がまったく認められなかったときで、陽性はその程度によって(+)から(6+)までの6段階に分けられます。定量法では0.2mg/dl以下が正常とされています。

従来のCRPの測定では0.1〜0.3mg/dlあたりが検査感度の限界とされてきましたが、近年普及しつつある「高感度CRP」では、0.03〜0.1mg/dlの範囲まで検出が可能になりました。

国内の健診受診者を対象にした調査では、極低濃度のCRP値で冠動脈疾患の発症リスクが上昇するというデータが示されたため、今度は高感度CRPが主流になると考えられています。

異常があったらどうするか?
各種の検査を総合して診断が下されます。炎症疾患の回復期や、潜在的な細菌感染症が疑われる病態では、症状・病勢にあわせて、繰り返し検査を行ないます。また、風邪などでも上昇することがあるので、この場合は、症状が落ち着いた時期に検査し、潜在的な炎症や疾患の有無を判定します。

異常な場合に疑われること
陽性の場合はまず、リウマチ熱、リウマチ様関節炎、気管支肺炎、耳下腺炎、骨髄炎、尿路感染症などの炎症性の病気が疑われます。また、心筋梗塞やがん、肉腫などの組織破壊を伴う疾患や、急性胃炎、白血病、急性骨炎でも陽性になります。


 
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