病院の検査の基礎知識

狭心症の原因となる冠動脈の狭窄の発見などに活用されています

コンピューター断層撮影(CT)は、X線を体の周りを回転させながら照射することで輪切りの断面写真を撮ることができます。画像診断の主役ですが、従来のCTでは平面画像でしかありません。上半身全体など広い範囲の撮影には長い息止めが必要ですが、撮影中に血圧や脈拍数が上昇するため、乳幼児や高齢者、重病の人には使いにくいという問題がありました。特に常に動いている心臓は、精密な画像を撮ることは難しいとされていました。

マルチスライスCTの画像です

この問題を解決したのが、これまで1列だったX線検出器を複数に配列したマルチスライスCTです。16列の機器(2013年現在、国内最高は320列ですが、医療機関が限られます)では、従来に比べて撮影速度が16倍、装置の回転速度は2倍となります。

このため、従来より30倍以上の高速度や、より鮮明な画質を得ることが可能となりました。また、撮影速度が速くなったことにより、被爆量も約40%軽減することができます。

マルチスライスCTで何がわかるのか?
1mm以下の幅で輪切り画像を多数積み重ねることで、従来では不可能だった縦方向の画像もあらわせるようになりました。あらゆる角度、方向から臓器が立体的に手に取るように見えます。画面上で臓器を動かし、下や裏側から見ることも簡単です。冠動脈、大動脈などの循環器領域は勿論のこと、胃、腸などの消化管や肝臓、胆のう、膵臓などの各臓器、腰椎、頚椎などの骨など全身が撮影可能です。

その中でも特に力を発揮するのが心臓です。例えば、大動脈瘤では瘤の大きさ、破裂しやすさなども簡単にわかります。形の異常の発見だけでなく、狭窄部を広げる風船療法やステント留置、バイパス手術の経過をみるのにも最適です。心臓の拍動にあわせた画像にすることも出来ます。
また、心拍数が不整であったり、脈が速過ぎたり遅過ぎたりしても、ほぼ正確に冠動脈の狭窄度を検出することができます。

一方、心臓カテーテル検査は実際の病変を映し出せますが、入院が必要となり、管が血管を突き破ったり、血の塊が飛んでほかの血管に詰まったりするなどの危険性が少なからずありました。

マルチスライスCTによる検査はどのように行なうのか?
検査着に着替え、検査台に仰向けに寝ます。ガントリーとよばれる大きなドーナッツ状の装置の中をゆっくり移動しながら検査を行ないます。あらかじめ確保しておいた点滴ルートより50〜100mlほど造影剤を静脈注入しながら画像データを収集します。

造影剤を使う点では、心臓カテーテル検査と同じですが、動脈に針を刺してカテーテルを入れていく必要がないため、検査に伴う合併症のリスクはありません。検査時間も1分以内で、検査後も特別な止血操作や安静時間は必要でなく、そのまま帰宅できます。

異常な場合に疑われる循環器系の病気
先天性の心臓病、心臓弁膜症、狭心症、心筋梗塞、心肥大、心筋症、心不全、不整脈など


 
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