病院の検査の基礎知識

造影剤のバリウムを注入して大腸がんやポリープの有無を調べます

大腸(直腸・結腸)に造影剤を注入し、X線撮影をして詳しく調べる検査のことで、下部消化管X線検査ともいいます。大腸がんは早期に発見、治療すれば後は経過が良好なことが多いため、近年では症状がなくても、積極的に注腸X線検査が行われるようになりました。便潜血反応が陽性の場合も、注腸X線検査か大腸内視鏡検査を行ないます。

注腸X線検査で何がわかるのか?
大腸がんの症状は、血便や便通異常、腹痛などです。とくに血便は重要で、肉眼で分かる血便や、便潜血反応で初めて分かる見えない血便まであります。これらの症状や便の変化で大腸がんが疑われた場合、はじめに行なわれるのがこの下部消化管X線検査です。大腸がんのほか、大腸ポリープ、クローン病、潰瘍性大腸炎、大腸憩室などがこの検査で診断できます。

注腸X線検査はどのような検査か?
前日に下剤を服用し腸の中を空にしておきます。検査直前に、腸の動きを抑えて鮮明な画像を得るため、抗コリン薬を注射します。緑内障、前立腺肥大症、不整脈などがある人は、抗コリン薬で症状が悪化することがあるので、注意を要します。ほかの薬では腸の動きを止める効果が弱いので、こうした人には、通常、内視鏡での検査が勧められます。

検査を行う際には、肛門から、まず造影剤のバリウムを注入し、次いで空気を注入して大腸を膨らませます。体位を変えてバリウムを腸壁全体に行き渡らせ、エックス線撮影を行います。撮影にかかる時間は、15分前後です。検査後には、再び下剤を飲んでバリウムの排出をうながします。

検査結果の判定
バリウムはX線を通さないので、大腸は白っぽい像として写ります。大腸がんやポリープはバリウムをはじくので、黒っぽい影で分かります。大腸がんが進行すると腸の内腔が狭くなりリンゴの芯のような形(アップル・コアサインといいます)が見られます。憩室は腸壁に白い出っ張りとして写ります。

異常があったらどうするか?
内視鏡検査や、組織を採取して調べる生検などを行なって診断を下すことになります。それらの精密検査を受け、診断の結果によって立てられた利用方針に従って治療を進めます。

異常な場合に疑われること
大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸結核、大腸憩室など


 
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