病院の検査の基礎知識

アミラーゼを調べることで、膵炎や膵臓がんなどの兆候を掴みます

アミラーゼは消化酵素の一種で、でんぷんなどの糖分を分解するはたらきがあり、以前はジアスターゼと呼ばれていました。おもに膵臓と唾液腺から分泌され、膵臓の病気などを発見したり、経過を観察するための指標として用いられています。

膵炎や膵臓がんの早期発見に有用です

膵管閉塞が起こると、アミラーゼの流れが阻害されるため血中アミラーゼの上昇、遅れて血中濃度も増加します。そのほか膵炎や膵臓がんなど膵臓の病気でも変化が起こります。そこで血液と尿のアミラーゼを測定することで、それらの兆候を読み取ろうというのがこの検査の目的です。

アミラーゼはどのように検査するのか?
血清アミラーゼは血液を採取して、血清部分を自動分析器にかけて検出します。また、尿アミラーゼは採取した尿を自動分析器にかけて検出します。検査方法は色々ありますが、現在では酵素法と呼ばれる手法が主流となっています。

基準値と変動の範囲(酵素法)

  • 血清アミラーゼ…60〜250IU/l
  • 尿アミラーゼ…100〜1000IU/l

検査結果の判定
急性膵炎は激しい腰痛を起こしますが、この場合には、アミラーゼの値が平常の5〜10倍に上昇します。発病から3〜4日で血清アミラーゼは正常に戻りますが、尿アミラーゼは高値が続きます。

膵臓の病気

回復期にもアミラーゼ値が変動することがあり、重症の膵炎や膵嚢胞を合併しているときは、経過の長引くこともあるので、2〜3週間は続けて測定します。なお、急性膵炎はその他の膵酵素や腹部超音波検査、腹部CT検査とあわせて診断されます

慢性膵炎やすい臓がんは2〜3倍の高値が持続しますが、慢性膵炎でも急性増悪期には急性と同じように上昇します。この場合には、上記の検査のほか、膵胆管造影、腹部血管造影、腫瘍マーカーなどの検査を行ない、診断します。

急性耳下腺炎や唾石症などの唾液腺の病気でも血清アミラーゼは上昇しますが、ほおの腫れや顎の痛みなどで診断がつきます。

また、胃・十二指腸潰瘍の穿孔、急性の胆管・胆嚢炎、腸閉塞、腹膜炎などでもすい臓が障害されたり膵液の排出が妨げられるため、膵型アミラーゼが上昇することがあります。

劇症肝炎、糖尿病性ケトーシス、腹部外傷では唾液腺型アミラーゼが上昇する場合があります。

異常があったらどうするか?
異常値の原因となっている病気を発見し、その治療にあたることが第一です。ただし、マクロアミラーゼ血症や、特発性の高唾液型アミラーゼ血症などは治療の必要はありません。

持続する軽度の高値のときは、慢性膵炎やすい臓がんなどが考えられますので、エラスターゼ1リパーゼなどの酵素のほか、腹部超音波検査腹部CT検査、逆行性膵胆管造影、腹部血管造影、腫瘍マーカーなどの検査を受けましょう。

異常な場合に疑われること

  • 血清・尿ともに高値…急性膵炎、慢性膵炎の増悪期、すい臓がん、膵嚢胞、耳下腺炎、胃・十二指腸潰瘍、腹膜炎、腸閉塞など
  • 血清だけが高値…マクロアミラーゼ血症、腎不全、高唾液腺型アミラーゼ血症など
  • 血清・尿ともに低値…腎臓病末期、肝硬変、重度の糖尿病など

 
Copyright 2023 病院の検査の基礎知識 All Rights Reserved.