腹部CTは肝臓や胆嚢、膵臓の病変や悪性腫瘍の診断に有用です
腹部の横断面に多方向からX線を照射し、コンピュータ処理によって鮮明な横断画面線を描き出します。肝臓や胆嚢、膵臓など内視鏡で観察できない腹部臓器の病変を診断する際に有効です。

検査方法には、造影剤を使わない単純CT撮影と造影剤を使う造影CT撮影があり、後者ではより明らかに判定できます。近年では、どちらの場合も断層面5mmで撮影するため、小さな変化(5mm以上)も読影できるようになっています。
腹部CT検査で何がわかるのか?
肝臓がん、胆道がん、膵臓がんなどの腹部臓器原発の悪性腫瘍がないかどうか、それがどの程度進展しているか、腹部リンパ節に転移していないか、などがわかります。
また、腹痛が急激に起こり、下痢や嘔吐などがともなう急性腹症が起きた際に、その原因となる消化管穿孔、胆石、胆嚢炎、膵炎、黄疸、尿路結石、解離性大動脈瘤、膿瘍などが見られないかを診断する際にも用いられます。
腹部CT検査はどのように行なうのか?
単純CT撮影と造影CT撮影の両方を行なうのが一般的です。検査着に着替え、検査台に仰向けに寝て、位置決めの撮影を行ないます。撮影は両腕を上にあげた姿勢で行ないます。
位置決め撮影の後、単純CTの撮影をします。腹部臓器の石灰化にともなう病巣や胆道結石、腎結石がある場合、造影剤を注入すると見にくくなってしまうので、まず造影剤(ヨード剤を静脈から注入)しないで撮影するのです。
単純CTの後、必要と判断されれば、造影剤(ヨード剤)を2分くらいかけて点滴静注し、造影CT撮影を行ないます。造影剤を注射する後に、冷汗や熱感を感じることがありますが心配ありません。検査時間は合わせて20〜40分くらいです。
また、ダイナミックCTと呼ばれる検査があります。これは、造影剤をより急速に静脈注射し、肝臓がんや血管腫の状態をよりはっきりと診断する方法で、必要に応じて追加される検査です。
検査結果の判定
肝臓がんは、単純CT撮影では周囲の正常な肝細胞よりやや黒っぽい腫瘍像として写り、造影CT撮影ではそれが白く写ります。膵臓がんは、単純、造影のどちらでも部分的な黒っぽい腫瘍像として写り、膵臓の尾側の膵管が拡張している像になります。必要があれば、腹部血管造影検査などの結果と組み合わせて、診断がなされます。
異常な場合に疑われること
肝臓がん、胆道がん、肝硬変、胆石、胆嚢炎、膵炎、大動脈瘤など