睡眠時無呼吸症候群を診断するアプノモニター検査
10秒以上呼吸が止まってしまうことを「無呼吸」といい、睡眠時に、無呼吸が1時間に5回以上、または7時間の睡眠中に30回以上の無呼吸がある状態を、「睡眠時無呼吸症候群」といいます。この無呼吸症候群を診断するための簡易検査がアプノモニター(簡易睡眠時呼吸検知装置)です。
2003年に新幹線の運転手が、居眠りをし停車駅を通過するという事件でこの病気がクローズアップされました。最近の調査では、睡眠時無呼吸症候群のドライバーの4割が居眠り運転を経験していることが明らかになり、社会問題となっています。
無呼吸症候群の主なの症状としては、日中の眠気、朝の頭痛や倦怠感、記憶・集中力の減退、夜間の頻尿、睡眠中の大きないびき、あえぎ呼吸・窒息感などがあります。睡眠時に無呼吸状態になると、十分な酸素を体に取り入れることができず、低酸素血症(いわゆる酸欠)になって心臓に大きな負担がかかります。放置しておくと、狭心症、不整脈、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞など命にかかわる病気を引き起こす恐れがありますので注意が必要です。
アプノモニター検査で何がわかるのか?
睡眠中における鼻での呼気、口の呼吸(吸気)の流れ、いびきや気道を通る空気の音、酸素濃度を記録し、データを解析することによって、無呼吸や低酸素が睡眠中に起こっていないかどうかがわかります。近年はアプノモニターの小型化が進み自宅で検査を行なうのが一般的になっています。
アプノモニター検査はどのように行なうのか?
寝る準備ができたら、アプノモニターから延びている3つのセンサーを取り付けます。これらのセンサーにはそれぞれ「鼻での呼気と口の呼吸の流れを調べる」、「いびきや気道を通る空気の音をキャッチする」、「血液中の酸素飽和度を測定する」という役割があります。夜中にトイレに起きても、モニターを外さずに自由に行けます。翌日、覚醒時に機会を外して検査は終了です。
基準値
一般的にはAHIが4以下(睡眠1時間あたりの無呼吸の平均回数が4回以下)の場合は正常です。
ただ、AHIが5以上がただちに異常と判断されるわけではなく、AHIが5〜20でも治療の必要ない軽症の人が多く含まれています。しかし、AHIが20以上になると心筋梗塞などの重大な心血管系の合併症を引き起こし、それが原因で死亡する確率が急上昇するというデータがありますので、その場合はさらに詳しい検査が必要です。
異常があったらどうするか?
記録されたデータから無呼吸の回数を解析して、睡眠時無呼吸症候群が疑われたなら、ポリソムノグラフィ(PSG:終夜睡眠時呼吸モニター)という検査を受けて、無呼吸症候群のタイプ(閉塞型か中枢型)の診断、無呼吸による酸素レベルの低下、無呼吸による睡眠の障害(睡眠の深さと無呼吸との関連)、寝ている体位による無呼吸の変化などを詳しく調べます。
ポリソムノグラフィは、呼吸(横隔膜や胸郭の運動)、心拍数、いびきの音、脳波、眼球運動、心電図、各種筋電図、血中酸素飽和度など、さまざまな情報を記録できる優れた検査ですが、一晩ないし二晩の入院が必要となります。
異常な場合に疑われること
睡眠時無呼吸症候群
追記:現在では「アプノモニター」イコール「簡易睡眠時呼吸検知装置」と広く認識されていますが、本来はチェスト株式会社が1988年に開発・発売した睡眠時無呼吸モニター(写真参照)の商標名です。