病院の検査の基礎知識

肝硬変や心不全による血流の停滞、腹腔内の炎症や腫瘍で腹水が増加

腹腔内に存在する液体を腹水といいます。腹水は生理的に必要な微量の液体成分ですが、肝硬変や心不全によって血流が滞ったり、血管の内圧が高くなったり、血液中のタンパク成分が低下したり、腹腔内に炎症や腫瘍があると増加します。この異常に腹水がたまっている状態を腹水貯留といいます。

顕微鏡で観察する細胞診も行われます

腹水検査で何がわかるのか?
異常な腹水の有無は、腹部の膨張や腹部超音波検査腹部CT検査などで発見することができます。そこで腹水を採取し、障害の原因や状態を調べるのが腹水検査です。

生化学的検査としては、タンパク量、電解質の濃度LDHなどが検査され、細菌培養では、グラム陰性棹菌、結核菌などが培養されます。細胞検査では、腫瘍細胞の有無が調べられ、白血球数が増加していれば、感染症やがんが考えられます。

腹水検査はどのように行われるのか?
腹水を比較的安全に採取できる部位は左下腹部で、採決に使用される針の付いた注射器が使われます。患者は腹水ができるだけ左下腹部に集まるように仰向けになり、やや左を向きます。

針を刺す箇所を消毒後、局所麻酔されます。患者は針を刺すとき、腹部に力を入れ、腹壁を緊張させると、刺しやすくなります。穿刺液は、滅菌試験管に数本に分けて採取されます。
腹水は、ある程度の量がないと採取ができません。腹水が多いと穿刺部から漏出することがあるため、採取後、ガーゼで穿刺部をしばらく圧迫する必要があります。

検査結果の判定
腹水は、タンパク含有の低い漏出液と、混濁して粘り気があり、タンパク含有の高い滲出液に分類されます。漏出液が認められれば、肝硬変やネフローゼ症候群、吸収不良症候群などが疑われます。
一方、浸出液なら、急性膵炎や腹膜炎などの炎症が起きていると考えられます。

細胞診に用いられる細胞の混入は、漏出液のほうが非常に多くなります。細胞診の結果はT〜Xの5段階で表わされ、T、Uなら陰性で異常なし、Vなら疑陽性で再検査が必要で、W、Xは要請でがんが疑われ、腫瘍マーカーや生検、画像診断などの精密検査が必要となります。

異常な場合に疑われる病気
肝硬変、ネフローゼ症候群、吸収不良症候群、うっ血性心不全、急性膵炎、腹膜炎、胆嚢炎、悪性腫瘍など


 
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