病院の検査の基礎知識

心不全や腎不全などの重症度や治療効果を判定するANP・BNP

ANPは心房性ナトリウム利尿ペプチドといい、主として心房で合成・貯蔵され、血液中に分泌されるホルモンです。水・ナトリウムの利尿、血管の拡張、レニン・アルドステロンの分泌抑制、循環血漿量の減少など多彩な生理作用を介して、生体の体液バランスならびに血圧調整に関与しています。

心不全などを調べる際に有用です

BNPは脳性ナトリウム利尿ペプチドといい、主として心室から血液中に分泌されるホルモンです。強力な水・ナトリウム利尿作用、血管拡張作用を有しており、心室に負荷がかかると分泌され、交感神経系およびレニン・アンギオテンシン系を抑制して、それらのホルモンと拮抗的にはたらいて心不全などの病態を改善させます。

ANP、BNPの検査で何がわかるのか?
ANPの分泌は、心房圧による心房筋の伸展によって刺激されるため、ANPが高値の場合は、心房負荷や循環血漿量の増加を起こす病態が存在することを意味しています。

ANPは、心不全や腎不全などの重症度や治療効果を判定するときに検査されます。その他、高血圧の病態把握、内分泌疾患のスクリーニング(ふるいわけ)などにも用いられています。

BNPも同様に、心不全の臨床的指標として非常に有用とされています。BNPは、ANPに比較して変化率が大きいのが特徴です。例えば、重症の心不全ではANPよりはるかに上昇するため、心不全の指標としてはANPより優れています。

また、心室機能の把握、心不全や心肥大の治療効果の確認、抗腫瘍薬、向精神薬の心筋障害の早期感知にも役立てられています。

基準値
ANP:40pg/ml以下 BNP:20pg/ml以下

異常な場合に疑われること

  • 高値…本態性高血圧、うっ血性心不全、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症など
  • 低値…脱水状態、利尿薬の影響など

 
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